糖化ストレスは運動抵抗性因子として働くか

本研究では,運動トレーニング効果を妨げる運動抵抗性因子として糖化ストレスが機能するか明らかにするために,糖化ストレスを負荷させたマウスに持久性トレーニングを実施し,糖代謝やミトコンドリア機能を制御する分子の発現変化について検討した.また,ヒトにおいて筋力トレーニングを実施し,糖化ストレス状態と筋力変化との関係性について検討した.4週間の自発走運動により,マウス足底筋のGLUT4およびPGC1α,HSP72のタンパク質発現が増加した.一方,この増加は糖化ストレスを誘導するmethylglyoxalを投与したマウスでは抑制された.また,健常男性において糖化ストレス高値群は低値群に比べて脚筋力が低値...

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Published inデサントスポーツ科学 Vol. 41; pp. 237 - 243
Main Authors 林, 達也, 伊藤, 理香, 江川, 達郎, 藤林, 真美, 後藤, 勝正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団 07.09.2020
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ISSN0285-5739
2758-4429
DOI10.57488/descente.41.0_237

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Summary:本研究では,運動トレーニング効果を妨げる運動抵抗性因子として糖化ストレスが機能するか明らかにするために,糖化ストレスを負荷させたマウスに持久性トレーニングを実施し,糖代謝やミトコンドリア機能を制御する分子の発現変化について検討した.また,ヒトにおいて筋力トレーニングを実施し,糖化ストレス状態と筋力変化との関係性について検討した.4週間の自発走運動により,マウス足底筋のGLUT4およびPGC1α,HSP72のタンパク質発現が増加した.一方,この増加は糖化ストレスを誘導するmethylglyoxalを投与したマウスでは抑制された.また,健常男性において糖化ストレス高値群は低値群に比べて脚筋力が低値であった.しかし,12週間の筋力トレーニングによる筋力増強効果に2群で差はなかった.以上の結果から,糖化ストレスは持久性トレーニングによる骨格筋適応を抑制する可能性が明らかになった.一方,筋力トレーニングによる筋力増強効果には影響しないことが明らかになった.
ISSN:0285-5739
2758-4429
DOI:10.57488/descente.41.0_237