当科における甲状腺未分化癌12例の検討

甲状腺未分化癌は急速に進行する極めて予後不良な悪性腫瘍である。発生が少なく,これまで治療の確立が困難であった。本邦では甲状腺未分化癌コンソーシアムによる解析から多くの情報がもたらされ始めた。また分子標的薬Lenvatinib(以下,LENV)が保険収載され,新たな治療手段として注目されている。今回われわれは,当科で初回治療した甲状腺未分化癌の治療成績から,当科での今後の治療方針を再考した。対象は,2006年から2016年までの11年間に当科で初回治療を行った12例。診療録調査。結果は,男女比6:6,平均年齢76歳,観察期間中央値176日,初診時に42%の例で遠隔転移があった。治療は,手術単独:...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 277 - 281
Main Authors 松永, 桃子, 平塚, 康之, 草野, 純子, 吉田, 尚生, 森田, 勲, 渡邉, 佳紀, 田中, 信三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2018
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.35.4_277

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Summary:甲状腺未分化癌は急速に進行する極めて予後不良な悪性腫瘍である。発生が少なく,これまで治療の確立が困難であった。本邦では甲状腺未分化癌コンソーシアムによる解析から多くの情報がもたらされ始めた。また分子標的薬Lenvatinib(以下,LENV)が保険収載され,新たな治療手段として注目されている。今回われわれは,当科で初回治療した甲状腺未分化癌の治療成績から,当科での今後の治療方針を再考した。対象は,2006年から2016年までの11年間に当科で初回治療を行った12例。診療録調査。結果は,男女比6:6,平均年齢76歳,観察期間中央値176日,初診時に42%の例で遠隔転移があった。治療は,手術単独:1例,手術+化学放射線療法:3例,手術+LENV:2例,化学放射線療法:2例,LENV単独:2例,無治療:2例であった。生存期間は29から574日(中央値176日)で,手術を行った群で中央値320日,術後追加治療を行った例で中央値338日と長かった。LENV導入4例のうち3例では,外来通院で加療継続でき,手術後にLENVを導入した群で生存期間中央値456日と長かった。全例原病死であったが,手術の介入にて局所・頸部の制御ができた例では生存期間は長かった。遠隔転移の有無に関わらず,局所・頸部の制御を目的とした積極的な手術介入と薬物療法を含む術後追加治療にて生存期間延長が期待できる可能性が示唆された。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.35.4_277