腸間膜脂肪織炎が原因と考えられた腹痛に対し柴苓湯が著効した1例
症例は56才男性。誘因なく強い心窩部痛が出現し,近医内科を受診し精査したが原因がわからず,疼痛治療のために当ペインクリニックを受診した。腹部 CT にて腸間膜脂肪織炎を認めた。同疾患は保存的治療が優先されるところであったが,患者の希望で漢方治療を施行した。漢方医学的所見では少陽病と水毒が見られたため柴苓湯を投与したところ,服用開始2日後には症状は軽減し,10日後までに疼痛は消失した。疼痛の原因は腸間膜脂肪織炎であった可能性があったが,漢方医学的治療によって速やかに疼痛が改善した。漢方治療は,腸間膜脂肪織炎の治療法の選択肢となる可能性がある。...
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Published in | 日本東洋医学雑誌 Vol. 75; no. 4; pp. 294 - 297 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本東洋医学会
2024
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-4857 1882-756X |
DOI | 10.3937/kampomed.75.294 |
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Summary: | 症例は56才男性。誘因なく強い心窩部痛が出現し,近医内科を受診し精査したが原因がわからず,疼痛治療のために当ペインクリニックを受診した。腹部 CT にて腸間膜脂肪織炎を認めた。同疾患は保存的治療が優先されるところであったが,患者の希望で漢方治療を施行した。漢方医学的所見では少陽病と水毒が見られたため柴苓湯を投与したところ,服用開始2日後には症状は軽減し,10日後までに疼痛は消失した。疼痛の原因は腸間膜脂肪織炎であった可能性があったが,漢方医学的治療によって速やかに疼痛が改善した。漢方治療は,腸間膜脂肪織炎の治療法の選択肢となる可能性がある。 |
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ISSN: | 0287-4857 1882-756X |
DOI: | 10.3937/kampomed.75.294 |