甲状腺癌気管浸潤に対する2期的再建

甲状腺分化癌の隣接臓器浸潤は,予後ばかりでなく術後のQOLに影響を与える。気管内腔浸潤の切除および2期的再建について,自験例の成績を中心に検討を行った。気管浸潤140名(表層浸潤:64名,内腔浸潤:76名)を対象とした。10年疾患特異的生存率は,表層浸潤例で91.2%,内腔浸潤例で60.8%と,内腔浸潤例で不良であった。死因の多くは遠隔転移であり,気管や喉頭での再発は低率であった。また気管切除に関連した重篤な合併症はなかった。気管切開孔の閉鎖は,内腔浸潤の30名(39%)で可能であった。閉鎖できなかった46名のうち,12名は気管切除が広範囲となり,管腔の保持の困難な症例であった。他の要因として...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 108 - 112
Main Author 森谷, 季吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2017
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.34.2_108

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Summary:甲状腺分化癌の隣接臓器浸潤は,予後ばかりでなく術後のQOLに影響を与える。気管内腔浸潤の切除および2期的再建について,自験例の成績を中心に検討を行った。気管浸潤140名(表層浸潤:64名,内腔浸潤:76名)を対象とした。10年疾患特異的生存率は,表層浸潤例で91.2%,内腔浸潤例で60.8%と,内腔浸潤例で不良であった。死因の多くは遠隔転移であり,気管や喉頭での再発は低率であった。また気管切除に関連した重篤な合併症はなかった。気管切開孔の閉鎖は,内腔浸潤の30名(39%)で可能であった。閉鎖できなかった46名のうち,12名は気管切除が広範囲となり,管腔の保持の困難な症例であった。他の要因として,他の臓器浸潤の合併,特に反回神経浸潤の合併が影響した。内腔浸潤に対する2期的再建は,局所再発や合併症が少なく,他の臓器浸潤を合併しても気管切開孔の閉鎖が可能なものあり有効な術式といえる。しかし,管腔の保持のできない欠損の再建は困難である。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.34.2_108