高齢者のMRSA下気道感染症におけるテイコプラニンTDMの検討

高齢者のMRSA下気道感染症におけるテイコプラニンTDMの検討を行なつた. 対象は65歳以上のMRSA下気道感染症例のうちTDMの行なわれた18例 (単独感染群6例, 他菌との重複感染群12例). ブドウ球菌感染症におけるテイコプラニン (TEIC) の血中濃度トラフ値は10μg/ml以上が望ましいといわれるが, 今回の検討ではTEIC1日200mg投与群11例の4日目トラフ値は平均5.5±2.3μg/mlであり, 腎不全例を除く全例が10μg/mlに到達していなかつた. この結果をふまえ7例でTEICが増量された. 一方400mg投与群7例の4日目トラフ値は平均10.7±5.3μg/ml (...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in環境感染 Vol. 17; no. 2; pp. 195 - 200
Main Authors 源馬, 均, 中山, 貴美子, 上村, 桂一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本環境感染学会 2002
Online AccessGet full text
ISSN0918-3337
1884-2429
DOI10.11550/jsei1986.17.195

Cover

More Information
Summary:高齢者のMRSA下気道感染症におけるテイコプラニンTDMの検討を行なつた. 対象は65歳以上のMRSA下気道感染症例のうちTDMの行なわれた18例 (単独感染群6例, 他菌との重複感染群12例). ブドウ球菌感染症におけるテイコプラニン (TEIC) の血中濃度トラフ値は10μg/ml以上が望ましいといわれるが, 今回の検討ではTEIC1日200mg投与群11例の4日目トラフ値は平均5.5±2.3μg/mlであり, 腎不全例を除く全例が10μg/mlに到達していなかつた. この結果をふまえ7例でTEICが増量された. 一方400mg投与群7例の4日目トラフ値は平均10.7±5.3μg/ml (6.29~18.89μg/ml) であり5例で10μg/ml未満であった. 微生物学的効果判定において菌消失率は66.7% (単独感染群83.3%, 重複感染群58.3%), 菌消失までの所要日数は19.3±10.2日で消失時の推定トラフ値は23.5±11.8μ9/mlであった. TEIC投与中に腎機能値異常は認められなかったが, 肝機能値異常が8例 (44.4%) に認められた. 以上より高齢者のMRSA下気道感染症におけるTEICの使用にあたつては, 少なくとも1日400mg (初日のみ倍量の800mg) で投与を開始するのが適当と思われた.
ISSN:0918-3337
1884-2429
DOI:10.11550/jsei1986.17.195