FIB/SEMトモグラフィー法による三次元再構築の特徴

FIB/SEMトモグラフィー法はSEM連続スライス観察による生体組織の三次元再構築法の一つであり,その特徴は試料切削に収束イオンビーム(FIB)を用いる点にある.FIBで切削した試料表面は比較的帯電し難く,導電性の低い様々な生体組織観察に応用可能である.また,本手法はFIBという歴史のある微細加工技術を用いることで,電子線トモグラフィー法に準ずる高い分解能の三次元構造解析や,骨などの硬組織の観察を可能とする.三次元再構築できる領域は最大約100 μm角の領域に限られるものの,FIB/SEMでは観察できる試料サイズに特別な制限がないため,肉眼レベルの臓器をSEMで俯瞰して観察しつつ,注目領域のみ...

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Published in顕微鏡 Vol. 49; no. 3; pp. 161 - 165
Main Authors 太田, 啓介, 金澤, 知之進, 中村, 桂一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.12.2014
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Summary:FIB/SEMトモグラフィー法はSEM連続スライス観察による生体組織の三次元再構築法の一つであり,その特徴は試料切削に収束イオンビーム(FIB)を用いる点にある.FIBで切削した試料表面は比較的帯電し難く,導電性の低い様々な生体組織観察に応用可能である.また,本手法はFIBという歴史のある微細加工技術を用いることで,電子線トモグラフィー法に準ずる高い分解能の三次元構造解析や,骨などの硬組織の観察を可能とする.三次元再構築できる領域は最大約100 μm角の領域に限られるものの,FIB/SEMでは観察できる試料サイズに特別な制限がないため,肉眼レベルの臓器をSEMで俯瞰して観察しつつ,注目領域のみを詳細に立体再構築することができる.この特徴は,臓器や病変の構造を解析する医学領域の課題において特に有用である.またFIB/SEMトモグラフィー法は,CLEM観察(光学顕微鏡で観察した同じ場所を電子顕微鏡で観察する相関観察法)とも相性が良く,汎用性の高い三次元観察手法である.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.49.3_161