注射用バンコマイシン使用届け出制導入の処方への影響

代表的抗MRSA薬である注射用バンコマイシン (VCM) 適正使用の対策として, 当院では2001年12月よりVCM使用時に主治医が届出用紙を提出することを義務づけた.その前後でVCM処方数等の変化を調べ, 届出制導入の処方への影響を検討した. 届出制導入前 (2000年12月~2001年11月) の月平均VCM (0.59) 処方本数は261±119本であり, 導入後 (2002年1月~2002年12月) では月平均139±80本と有意に減少した (P=0.0073). 一方, アルベカシン (ABK) 処方本数は59±45→79±25本と有意差はなかった (P=0.19). 同様に, MR...

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Published in環境感染 Vol. 18; no. 3; pp. 329 - 332
Main Authors 河井, 良智, 松田, 俊之, 戸島, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本環境感染学会 2003
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Summary:代表的抗MRSA薬である注射用バンコマイシン (VCM) 適正使用の対策として, 当院では2001年12月よりVCM使用時に主治医が届出用紙を提出することを義務づけた.その前後でVCM処方数等の変化を調べ, 届出制導入の処方への影響を検討した. 届出制導入前 (2000年12月~2001年11月) の月平均VCM (0.59) 処方本数は261±119本であり, 導入後 (2002年1月~2002年12月) では月平均139±80本と有意に減少した (P=0.0073). 一方, アルベカシン (ABK) 処方本数は59±45→79±25本と有意差はなかった (P=0.19). 同様に, MRSA検出患者数は45±8→41±9名と有意差はなかった (p=0.29). VCM使用届出制導入により, 明らかにVCMの処方に制限がかかった. また, 他のMRSA薬にシフトしていないことから, 本制度はVCMの適正使用を促す一つの手段になり得ると考えられた.
ISSN:0918-3337
1884-2429
DOI:10.11550/jsei1986.18.329