分析走査電子顕微鏡を用いた硬組織の石灰化の進行と成熟過程の検討

私たちは,歯と骨の発生と修復に伴う石灰化に関して,硬組織の構成元素の分布と濃度の動態を分析走査電子顕微鏡(SEM-EDX)で可視化し,研究を進めてきた.エナメル質と象牙質の発生過程に関する研究では,ラット切歯の萌出過程を利用し,石灰化の進行と成熟をSEM-EDXを用いてカルシウム,リンおよび炭素の分布と濃度を可視化して調べた.骨の発生過程については,胎生期および生後成長期のラットの下顎骨と頭蓋骨をSEM-EDXで同様に検討した.また,骨の修復過程については,ラット頭頂骨規格化骨欠損実験系で形成される修復骨の石灰化過程をマイクロCTとSEM-EDXを用いて解析した.構成元素の分布と濃度を可視化す...

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Published in顕微鏡 Vol. 54; no. 3; pp. 144 - 148
Main Authors 笹野, 泰之, 中村, 恵, 逸見, 晶子, 大方, 広志, 真柳, みゆき
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.12.2019
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Summary:私たちは,歯と骨の発生と修復に伴う石灰化に関して,硬組織の構成元素の分布と濃度の動態を分析走査電子顕微鏡(SEM-EDX)で可視化し,研究を進めてきた.エナメル質と象牙質の発生過程に関する研究では,ラット切歯の萌出過程を利用し,石灰化の進行と成熟をSEM-EDXを用いてカルシウム,リンおよび炭素の分布と濃度を可視化して調べた.骨の発生過程については,胎生期および生後成長期のラットの下顎骨と頭蓋骨をSEM-EDXで同様に検討した.また,骨の修復過程については,ラット頭頂骨規格化骨欠損実験系で形成される修復骨の石灰化過程をマイクロCTとSEM-EDXを用いて解析した.構成元素の分布と濃度を可視化することで,硬組織の発生と修復に伴い,カルシウムとリンの分布が拡大し濃度が上昇する一方で,有機質の指標である炭素の濃度が低下することが示された.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.54.3_144