肝疾患における血中m-GOT, GLDH活性値の動態―実験的, 臨床的考察

肝実質細胞障害を評価するため, m-GOT, GLDHの活性動態を観察した.家兎にDL-Ethionineを投与した実験的肝障害では, m-GOT値の動きは急速で3日後にpeakに達し, 7日後に正常値に復した.一方, GLDH値の動きはやや緩慢で比較的長期間異常値を示した.ヒト急性肝炎では, 血中総GOT, GPT値は急速に下降するが, m-GOT, GLDH値共やや緩慢な動きを示し, 発病後8~9週で正常化した.しかしこの場合もm-GOT値よりGLDH値の方がより長期間異常値を持続した.各種肝疾患の酵素動態では, 急性肝炎回復期でm-GOT値が下降しているのに反し, GLDH値はなお異常値...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 40; no. 2; pp. 235 - 241
Main Author 菊地, 好男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 01.04.1980
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Summary:肝実質細胞障害を評価するため, m-GOT, GLDHの活性動態を観察した.家兎にDL-Ethionineを投与した実験的肝障害では, m-GOT値の動きは急速で3日後にpeakに達し, 7日後に正常値に復した.一方, GLDH値の動きはやや緩慢で比較的長期間異常値を示した.ヒト急性肝炎では, 血中総GOT, GPT値は急速に下降するが, m-GOT, GLDH値共やや緩慢な動きを示し, 発病後8~9週で正常化した.しかしこの場合もm-GOT値よりGLDH値の方がより長期間異常値を持続した.各種肝疾患の酵素動態では, 急性肝炎回復期でm-GOT値が下降しているのに反し, GLDH値はなお異常値を持続した.肝癌ではm-GOT値はかなり高値を示し, しかも旱期より血中に出現した. 以上の結果から, m-GOT活性値は比較的早期の病態を反映するため, 測定は急性期に頻繁に行う必要がある.一方GLDH活性値は比較的長期間異常値を持続するため, やや遅れた時期でも肝障害を評価することが可能である.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.40.235