ダイナペニア高齢者の起立テストにおける運動学的特徴―OpenPoseを利用した検討

【はじめに】運動機能低下を呈するダイナペニアはサルコペニア同様ADL低下、死亡等のリスクがあることが知られており、ダイナペニアをはじめ高齢者の運動機能低下の早期発見は重要である。高齢者の運動機能検査の一つに起立テストがあり、一般的に起立回数・時間などの指標が利用される。一方で、3次元動作解析による先行研究では、起立テスト時の関節角度や角速度などの運動学的特徴が高齢者の運動機能をより正確に反映する可能性が報告されている。したがって、運動学的特徴の抽出は臨床上重要な評価であると考えられる。しかし、従来の動作解析はコストや計測負担が高く、専門施設での利用に限られてきた。一方近年、深層学習を基盤とした...

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Published in日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 360
Main Authors 野池, 貫志, 井ノ上, 真白, 野嶌, 一平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2024
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Summary:【はじめに】運動機能低下を呈するダイナペニアはサルコペニア同様ADL低下、死亡等のリスクがあることが知られており、ダイナペニアをはじめ高齢者の運動機能低下の早期発見は重要である。高齢者の運動機能検査の一つに起立テストがあり、一般的に起立回数・時間などの指標が利用される。一方で、3次元動作解析による先行研究では、起立テスト時の関節角度や角速度などの運動学的特徴が高齢者の運動機能をより正確に反映する可能性が報告されている。したがって、運動学的特徴の抽出は臨床上重要な評価であると考えられる。しかし、従来の動作解析はコストや計測負担が高く、専門施設での利用に限られてきた。一方近年、深層学習を基盤とした動作解析システム「OpenPose」が開発され臨床応用の可能性が広がっている。しかし、OpenPoseによる動作解析からダイナペニアの運動学的特徴を抽出できるか検証した報告はない。 【目的】OpenPoseを基盤とした動作解析によるダイナペニア高齢者の運動学的特徴の抽出可能性を明らかにする。 【方法】60歳以上の高齢者45名 (平均73.8±7.7歳)を握力、歩行速度、骨格筋量から健常高齢者群(n=36,平均72.1±7.4歳)、ダイナペニア群 (n=9,平均80.4±5.1歳)に群分けした。 OpenPoseによる動作解析では30秒起立テスト (以下、CS-30) を採用し、起立から着座までを4つの相 (屈曲相、起立相、着座相、伸展相)に分けて評価した。その他の運動機能検査は膝伸展筋力、TUGとし、基本情報は年齢、性別、下腿周径を収集した。統計解析は対応のないt検定、χ2検定を用い、有意水準は 0.05とした。 【結果】基本情報は年齢がダイナペニア群で高かった (p<0.01)。運動機能は握力とTUGがダイナペニア群で低下した (p=0.018, p=0.024)が、CS-30の回数に差はなかった (p=0.096)。 OpenPoseによる動作解析では、屈曲相と伸展相の時間 (p<0.01,p=0.01)と割合 (p=0.015,p=0.037)がダイナペニア 群で延長した。また、伸展相の股関節、膝関節の角度変化量 (p=0.022,p=0.031)と角速度 (p=0.024,p=0.018)、屈曲相の股関節の角度変化量(p=0.017)と角速度(p=0.012)がダイナペニア群で低かった。 【考察・結論】OpenPoseを利用した動作解析によりダイナペニア高齢者の運動学的特徴の検出が可能であった。一方、 CS-30の回数に差がなかったことはOpenPoseによる動作解析により早期の運動機能低下を検出できる可能性を示唆するものと考える。 【倫理的配慮】信州大学倫理委員会の承認を得た (承認番号 5544)
Bibliography:YP-25-4
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_360