脳ドックにおける頸動脈超音波検査で発見された甲状腺癌症例の検討

脳ドックは脳疾患をスクリーニングする検診であり,脳MRI,MRAに加え,頸動脈超音波検査を含んでいる。頸動脈超音波施行時に甲状腺を観察した8,514名中181例(2.1%)が甲状腺要精査となった。石灰化病変が認められた症例は112例 (62%),長径2cm以上は62例 (34%),悪性所見は15例(8%),甲状腺周囲病変は9例(5%)などであった。181例中当科で精査した症例は106例であり,106例の中で21例(0.25%)において癌が発見され,甲状腺癌が20例を占めた。頸動脈超音波検査による所見について悪性所見と甲状腺周囲病変が甲状腺良性病変例と比較し,甲状腺癌例で多くみられた。また甲状腺...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 144 - 147
Main Authors 井出, 渉, 後藤, 孝, 岡田, 豊治, 坂東, 伸幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.29.2_144

Cover

More Information
Summary:脳ドックは脳疾患をスクリーニングする検診であり,脳MRI,MRAに加え,頸動脈超音波検査を含んでいる。頸動脈超音波施行時に甲状腺を観察した8,514名中181例(2.1%)が甲状腺要精査となった。石灰化病変が認められた症例は112例 (62%),長径2cm以上は62例 (34%),悪性所見は15例(8%),甲状腺周囲病変は9例(5%)などであった。181例中当科で精査した症例は106例であり,106例の中で21例(0.25%)において癌が発見され,甲状腺癌が20例を占めた。頸動脈超音波検査による所見について悪性所見と甲状腺周囲病変が甲状腺良性病変例と比較し,甲状腺癌例で多くみられた。また甲状腺癌20例中1cm以下の微小癌が7例(35%)で,病理診断でpT1aとpT1b合わせて17例(85%)であり,pT4a例はみられなかった。脳ドックにおける頸動脈超音波施行時に甲状腺を観察することによって早期の甲状腺癌が発見される可能性がある。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.29.2_144