直腸静脈瘤の血行動態およびその治療戦略

当科で治療を施行した直腸静脈瘤19例を対象に,直腸静脈瘤の血行動態およびその治療戦略について検討した.直腸静脈瘤の主たる供血源は下腸間膜静脈(IMV)で,血管造影(SMA造影・SPA造影)ではIMVの逆流現象が,CTではIMV径の増大が観察された.18例に内視鏡治療(EIS/EVL)を施行し,1例に開腹下シャント閉鎖術を施行したところ(平均観察期間30.6カ月),1例は直腸静脈瘤破裂で死亡,6例は追加治療を要したが,残り12例は追加治療なく経過した.直腸静脈瘤に対する内視鏡治療は,有効かつ簡便・安全な治療法であり,特殊な症例を除き標準治療になりうると考えられた.また,直腸静脈瘤の血行動態評価お...

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Published inJapanese Journal of Portal Hypertension Vol. 15; no. 2; pp. 176 - 183
Main Authors 田畑, 拓久, 佐伯, 俊一, 今村, 潤, 林, 星舟, 木村, 公則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 2009
The Japan Society for Portal Hypertension
Subjects
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph.15.176

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Summary:当科で治療を施行した直腸静脈瘤19例を対象に,直腸静脈瘤の血行動態およびその治療戦略について検討した.直腸静脈瘤の主たる供血源は下腸間膜静脈(IMV)で,血管造影(SMA造影・SPA造影)ではIMVの逆流現象が,CTではIMV径の増大が観察された.18例に内視鏡治療(EIS/EVL)を施行し,1例に開腹下シャント閉鎖術を施行したところ(平均観察期間30.6カ月),1例は直腸静脈瘤破裂で死亡,6例は追加治療を要したが,残り12例は追加治療なく経過した.直腸静脈瘤に対する内視鏡治療は,有効かつ簡便・安全な治療法であり,特殊な症例を除き標準治療になりうると考えられた.また,直腸静脈瘤の血行動態評価および治療効果判定には,造影CTが有用と考えられた.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph.15.176