Gardner症候群の1例

症例は27歳の男子で, 腹痛, 下痢, 胃部不快感を主訴として来院, 消化管X線検査, 消化管内視鏡検査, 全身骨X線検査から胃ポリポージス, 大腸ポリポージス, 下顎骨の石灰化を認め, 軟部腫瘍の病変を欠く不完全型ガードナー症候群と診断した.生検組織像は胃ポリープは腸上皮化生, 大腸ポリープは腺腫であった.以上から, 大腸全摘出術を施行, 術前には診断できなかった潰瘍性病変を横行結腸に認め, この部位に高分化型腺癌を認めた.ガードナー症候群の三主徴は, 消化管ポリーポジス, 骨腫, 軟部腫瘍で, 1950年ガードナーらにより体系づけられた.常染色体優性遺伝形式をとり, 高率に大腸癌を合併する...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 40; no. 3; pp. 375 - 380
Main Authors 奥村, 邦彦, 伊礼, 正剛, 中浜, 誠, 斉藤, 博文, 児玉, 秀文, 八田, 善夫, 諸星, 利男, 竹内, 治男, 田中, 宣男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 01.06.1980
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.40.375

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Summary:症例は27歳の男子で, 腹痛, 下痢, 胃部不快感を主訴として来院, 消化管X線検査, 消化管内視鏡検査, 全身骨X線検査から胃ポリポージス, 大腸ポリポージス, 下顎骨の石灰化を認め, 軟部腫瘍の病変を欠く不完全型ガードナー症候群と診断した.生検組織像は胃ポリープは腸上皮化生, 大腸ポリープは腺腫であった.以上から, 大腸全摘出術を施行, 術前には診断できなかった潰瘍性病変を横行結腸に認め, この部位に高分化型腺癌を認めた.ガードナー症候群の三主徴は, 消化管ポリーポジス, 骨腫, 軟部腫瘍で, 1950年ガードナーらにより体系づけられた.常染色体優性遺伝形式をとり, 高率に大腸癌を合併する疾患とされている.本邦でも10数例と報告例も少なく, また, 家族性大腸ポリポージスとの異同もあり, 大変興味ある症例であるので, 文献的考察を加え報告する.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.40.375