東南アジア熱帯雨林における野生哺乳類の生態研究 ボルネオ島におけるマメジカの生態,中大型哺乳類による塩場利用を中心に

この度, 第6回日本哺乳類学会奨励賞を頂戴し, うれしい限りです. この機会に自分の研究を振り返ってみたいと思います, かつて, 熱帯雨林は私にとって憧れの場所の一つだった. それは小学生の頃, 伯父がボルネオ島へ南洋材の買い付けによく出かけ, 現地の森や動物の話をしてくれたからである. さらに, 中高生の頃に愛読した動物雑誌『アニマ』で紹介される記事を読む度に, その憧れは強くなっていった. しかし, 熱帯雨林で霊長類以外の野生哺乳類の生態を専門とする大学の先生がおらず, 他にも興味があったので, 学部(東農大・家畜生理)と修士課程(東工大・分子進化)は, 異なる分野に身を置いていた. けれ...

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Published in哺乳類科学 Vol. 48; no. 2; pp. 293 - 294
Main Author 松林, 尚志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本哺乳類学会 2008
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Summary:この度, 第6回日本哺乳類学会奨励賞を頂戴し, うれしい限りです. この機会に自分の研究を振り返ってみたいと思います, かつて, 熱帯雨林は私にとって憧れの場所の一つだった. それは小学生の頃, 伯父がボルネオ島へ南洋材の買い付けによく出かけ, 現地の森や動物の話をしてくれたからである. さらに, 中高生の頃に愛読した動物雑誌『アニマ』で紹介される記事を読む度に, その憧れは強くなっていった. しかし, 熱帯雨林で霊長類以外の野生哺乳類の生態を専門とする大学の先生がおらず, 他にも興味があったので, 学部(東農大・家畜生理)と修士課程(東工大・分子進化)は, 異なる分野に身を置いていた. けれども, やはり「野生動物の生態」をテーマに, 「学生だからできること」をしたいと考えるようになり, 博士課程から思い切って飛び込んだのが「熱帯雨林の野生哺乳類の世界」だった. 周りからは無謀だと呆れられたが, 東京工業大学(当時)の幸島司朗先生は「おもろそやな」と身を乗り出してきたように思う.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.48.293