過疎地域に在住する高齢慢性疾患患者の健康・疾病状況と社会活動からみた健康管理の支援方法

本研究の目的は, 過疎地域に在住する高齢慢性疾患患者の生活状況, 健康・疾病状況, 社会活動状況とそれらの関係を明らかにし, 生活管理のための支援方法を検討することである.定期的に巡回診療を受診する患者95名を対象に, 一般的属性, 家族状況, 移動方法, 健康・疾病状況, 高齢者社会活動状況指標を面接により聞き取り調査し, あわせて診療記録からのデータ収集を行った.その結果, 以下のことが明らかかになった. 1. 高血圧, 心疾患などの循環器系疾患, 消化器系疾患, 内分泌系疾患, 骨・関節系疾患を中心とした複数の慢性疾患を有するものが多く, ほぼ全員が内服薬の処方を受け, 服薬コンプライア...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 50; no. 3; pp. 287 - 293
Main Authors 小泉, 美佐子, 星野, まち子, 宮本, 美佐, 伊藤, まゆみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2000
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Summary:本研究の目的は, 過疎地域に在住する高齢慢性疾患患者の生活状況, 健康・疾病状況, 社会活動状況とそれらの関係を明らかにし, 生活管理のための支援方法を検討することである.定期的に巡回診療を受診する患者95名を対象に, 一般的属性, 家族状況, 移動方法, 健康・疾病状況, 高齢者社会活動状況指標を面接により聞き取り調査し, あわせて診療記録からのデータ収集を行った.その結果, 以下のことが明らかかになった. 1. 高血圧, 心疾患などの循環器系疾患, 消化器系疾患, 内分泌系疾患, 骨・関節系疾患を中心とした複数の慢性疾患を有するものが多く, ほぼ全員が内服薬の処方を受け, 服薬コンプライアンスは比較的良好であった.対象の40%が自覚症状を有し, 膝関節痛, 腰痛などの骨・関節系疾患に由来する症状が多かったが, 44%が自分の健康状態をよいと評価していた. 2. 対象の社会活動レベルは, 男性では「社会的活動」「学習的活動」「個人的活動」の得点が低かった.女性では「仕事」「個人的活動」が高く, 「学習的活動」得点が低かった. 3. 対象の社会活動には, 年齢, 性別, 移動手段, 趣味の有無, 自覚的健康状態, 自覚症状の有無, 健康上気をつけていることの有無が関係していた. 4. 過疎地域に在住する高齢慢性疾患患者に対する生活管理として, 症状・疼痛管理に関する内容, 筋力増強訓練プログラムを含めた体重管理に関する内容を, 患者の生活において積極的な意味づけをもつように支援することが重要であると考えられる.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.50.287