原発性アルドステロン症における鏡視下副腎摘除術後の高血圧治療成績

鏡視下副腎摘除術は原発性アルドステロン症(PA)治療の標準的な術式として確立しており,本邦でも広く行われている。本稿では自験例を中心に,1995年からの20年間における片側PAに対する鏡視下副腎摘除術後の高血圧治癒率の変化について検討した。当院における術後の高血圧治癒率は前半10年間の症例で51.8%,後半10年間で31.1%と有意に低下していた。両群間の患者背景では,性別,年齢,BMI,糖尿病の罹患,術前の血圧,血清カリウム値,血漿レニン活性について有意差を認めた。これらの因子には術後の予後予測因子が多く含まれており,術後の高血圧治癒の可能性が低い症例が増加していることが明らかになった。患者...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 18 - 22
Main Authors 内海, 孝信, 滑川, 剛史, 鈴木, 啓悦, 市川, 智彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2018
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.35.1_18

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Summary:鏡視下副腎摘除術は原発性アルドステロン症(PA)治療の標準的な術式として確立しており,本邦でも広く行われている。本稿では自験例を中心に,1995年からの20年間における片側PAに対する鏡視下副腎摘除術後の高血圧治癒率の変化について検討した。当院における術後の高血圧治癒率は前半10年間の症例で51.8%,後半10年間で31.1%と有意に低下していた。両群間の患者背景では,性別,年齢,BMI,糖尿病の罹患,術前の血圧,血清カリウム値,血漿レニン活性について有意差を認めた。これらの因子には術後の予後予測因子が多く含まれており,術後の高血圧治癒の可能性が低い症例が増加していることが明らかになった。患者背景変化の要因の一つとして,PAのスクリーニングが浸透したことが考えられる。しかしながら,高アルドステロン状態の改善や降圧剤の減量もPAに対する副腎摘除術の重要な目的であるため,今後も片側PAに対して副腎摘除術を施行すべきである。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.35.1_18