認知症のある大腿骨近位部骨折患者に対する看護——自宅へ帰りたいと願う患者への退院支援
高齢者の転倒は大腿骨近位部骨折を起こし,寝たきりや術後せん妄,認知症の発症につながることもある.今回入院中に認知症の症状が強くなり,自宅に帰りたいと希望した患者の看護をした.術前は疼痛コントロールと廃用症候群予防に努め,術後は早期離床,認知症ケアやアクティビティに参加できるようにした.患者の意思を尊重し,無理に在宅介護を勧めず,意思決定を急かさないように家族の思いを傾聴した.家族が患者と共に自宅で過ごすことを選択し,介護サービスを調整して,患者の希望した自宅退院ができた.退院支援には,看護師が入院時から退院支援のアセスメントの視点を持ち,患者・家族の意思決定を確認しながら,主体的に多職種と,地...
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Published in | 日本運動器看護学会誌 Vol. 16; pp. 44 - 49 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本運動器看護学会
28.02.2021
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Subjects | |
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ISSN | 2186-635X 2435-001X |
DOI | 10.34324/jsmn.16.0_44 |
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Summary: | 高齢者の転倒は大腿骨近位部骨折を起こし,寝たきりや術後せん妄,認知症の発症につながることもある.今回入院中に認知症の症状が強くなり,自宅に帰りたいと希望した患者の看護をした.術前は疼痛コントロールと廃用症候群予防に努め,術後は早期離床,認知症ケアやアクティビティに参加できるようにした.患者の意思を尊重し,無理に在宅介護を勧めず,意思決定を急かさないように家族の思いを傾聴した.家族が患者と共に自宅で過ごすことを選択し,介護サービスを調整して,患者の希望した自宅退院ができた.退院支援には,看護師が入院時から退院支援のアセスメントの視点を持ち,患者・家族の意思決定を確認しながら,主体的に多職種と,地域の中での支援体制を整える連携や,患者・家族の不安を軽減するための退院指導をする必要がある.またファシリテーターの役割や,退院調整でのリーダーシップも求められ,認知症ケアを行いながら,患者のQOLが低下しないような幅広い知識・技術が必要である. |
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ISSN: | 2186-635X 2435-001X |
DOI: | 10.34324/jsmn.16.0_44 |