肩腱板断裂後患者の修復腱にかかる力学的ストレスへのシミュレーションアプローチ――再断裂リスク軽減にむけた援助方法のバイオメカニクス的検討

【目的】筋骨格筋シミュレーションソフトを用いて肩腱板断裂モデルを作成し,装具を外した際の援助を模した肢位の修復腱にかかる力学的ストレスを推定した.【方法】ソフトはAnyBody Modeling Systemを用いた.アウトカムは,棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋・三角筋・僧帽筋の腱張力とした.援助を模した肢位は援助肢位(2肢位),援助部位(3箇所),援助部位に与えた力(4つ)および肩関節モデル(3つ)の全72パターンとした.【結果】棘上筋は,援助量の増加にて腱張力が減少した.棘上筋の援助量は,上肢重量の約半分で概ね最小化した.棘下筋の援助部位は,尺骨遠位端の支持にて腱張力が減少した.棘下筋の...

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Published in日本運動器看護学会誌 Vol. 17; pp. 43 - 52
Main Authors 河上, 淳一, 烏山, 昌起, 田川, 善彦, 松尾, 福美, 松浦, 恒明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動器看護学会 28.02.2022
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ISSN2186-635X
2435-001X
DOI10.34324/jsmn.17.0_43

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Summary:【目的】筋骨格筋シミュレーションソフトを用いて肩腱板断裂モデルを作成し,装具を外した際の援助を模した肢位の修復腱にかかる力学的ストレスを推定した.【方法】ソフトはAnyBody Modeling Systemを用いた.アウトカムは,棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋・三角筋・僧帽筋の腱張力とした.援助を模した肢位は援助肢位(2肢位),援助部位(3箇所),援助部位に与えた力(4つ)および肩関節モデル(3つ)の全72パターンとした.【結果】棘上筋は,援助量の増加にて腱張力が減少した.棘上筋の援助量は,上肢重量の約半分で概ね最小化した.棘下筋の援助部位は,尺骨遠位端の支持にて腱張力が減少した.棘下筋の援助量は,尺骨遠位端に約1/3または尺骨遠位端と肘頭に上肢重量の約半分の援助量で腱張力を概ね最小化できるが,肘頭に対する援助量を増しても腱張力の減少に限りがあった.【考察】上肢重量と援助の方向から肩関節のモーメントを想定することで,修復腱の腱張力を推定することが可能であった.援助者は,自身の前腕全体を使って患者の腕を援助することで,棘上筋と棘下筋断裂の修復術後に対応することが可能である.
ISSN:2186-635X
2435-001X
DOI:10.34324/jsmn.17.0_43