起立性調節障害に伴う睡眠相後退症候群に赤丸料による温補治療が奏効した1例

起立性調節障害は思春期に罹患することが多く,立ちくらみ,朝起き不良,嘔気,食欲不振,全身倦怠感,頭痛などの症状を呈する。今回,就寝時間がやや遅くなり翌昼まで起きられなくなる睡眠相後退症候群が,温補治療によって改善するとともに,睡眠の深さも良好となった例を経験したため報告する。16歳女性。14歳時から起立性調節障害で漢方治療を受けていた。連珠飲の投与で病状が安定し通学できるようになっていたが,2年後の冬に症状が再燃し入院した。電気温鍼で高度の裏寒を認め,簡易的な睡眠解析では深い睡眠が得られていなかったため,裏寒と睡眠障害とに関連があると考えて,温補治療に特化して赤丸料を投与したところ,起床時間の...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 25 - 33
Main Authors 吉永, 亮, 井上, 博喜, 中尾, 桂子, 矢野, 博美, 原田, 直之, 田原, 英一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2024
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.75.25

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Summary:起立性調節障害は思春期に罹患することが多く,立ちくらみ,朝起き不良,嘔気,食欲不振,全身倦怠感,頭痛などの症状を呈する。今回,就寝時間がやや遅くなり翌昼まで起きられなくなる睡眠相後退症候群が,温補治療によって改善するとともに,睡眠の深さも良好となった例を経験したため報告する。16歳女性。14歳時から起立性調節障害で漢方治療を受けていた。連珠飲の投与で病状が安定し通学できるようになっていたが,2年後の冬に症状が再燃し入院した。電気温鍼で高度の裏寒を認め,簡易的な睡眠解析では深い睡眠が得られていなかったため,裏寒と睡眠障害とに関連があると考えて,温補治療に特化して赤丸料を投与したところ,起床時間の改善とともに睡眠深度の改善がみられた。裏寒の存在が睡眠障害の原因となり得,また赤丸料による温補が睡眠障害の改善に寄与する可能性があると考える。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.75.25