馬蹄腎峡部を離断し人工血管置換術を施行した 腹部大動脈瘤の 1 例

【背景】馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤(AAA)に対して,腎峡部を離断し人工血管置換術を施行した症例を経験したので報告する.【症例】76歳,男性.術前CTではAAAの腹側に跨ぐ状態で馬蹄腎峡部が存在し,腎峡部には腎実質を含むが腎盂・腎杯構造は認めなかった.術前には異所性腎動脈(ARA)は確認できなかった.手術は腹部正中切開にてアプローチした.幅約 4cmの腎峡部を離断しAAAの全貌を確認すると径約 3mmのARAを 1 本認めた.AAAをY型人工血管にて置換しARAも再建した.【結果】術後腎機能低下はなくMRAでは再建したARAの開存を認めた.【結論】馬蹄腎を伴ったAAAの手術において腎峡部が腎...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 18; no. 1; pp. 31 - 35
Main Authors 藤松, 利浩, 小坂, 眞一, 高井, 文恵, 鈴木, 博之, 南淵, 明宏, 橋本, 昌紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2009
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.18.31

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Summary:【背景】馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤(AAA)に対して,腎峡部を離断し人工血管置換術を施行した症例を経験したので報告する.【症例】76歳,男性.術前CTではAAAの腹側に跨ぐ状態で馬蹄腎峡部が存在し,腎峡部には腎実質を含むが腎盂・腎杯構造は認めなかった.術前には異所性腎動脈(ARA)は確認できなかった.手術は腹部正中切開にてアプローチした.幅約 4cmの腎峡部を離断しAAAの全貌を確認すると径約 3mmのARAを 1 本認めた.AAAをY型人工血管にて置換しARAも再建した.【結果】術後腎機能低下はなくMRAでは再建したARAの開存を認めた.【結論】馬蹄腎を伴ったAAAの手術において腎峡部が腎実質のみからなる場合,AAAの全貌露出を容易としARAを正確に確認する目的で,腎峡部を離断する術式は有用であると思われた.そのことで人工血管置換が容易となるだけでなくARAの再建も良好な視野で行うことができた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18.31