シェーグレン症候群における唾液腺病変と加齢の関連性
シェーグレン症候群 (SS) は外分泌腺に対する自己免疫反応により腺組織が破壊され, 眼, 口腔などに乾燥症状を呈する疾患である。口腔乾燥症の認知度の高まりとともにSSの疑いがある高齢者は増加傾向にあり, 今後SSの病態と口腔乾燥症状に対する一層の理解が必要になると思われる。今回, SSにおける唾液腺病変と加齢の関連性を明らかにする目的で, SS患者の年齢と各種検査所見との相関を解析した。 2005年11月から2009年12月までに北海道大学病院第二内科および高齢者歯科におけるSS外来を受診し, SSと診断された症例のうち同意が得られた27名 (男性3名, 女性24名, 平均年齢50.1歳)...
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Published in | Ronen Shika Igaku Vol. 25; no. 3; pp. 307 - 314 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年歯科医学会
2010
Japanese Society of Gerodontology |
Subjects | |
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Summary: | シェーグレン症候群 (SS) は外分泌腺に対する自己免疫反応により腺組織が破壊され, 眼, 口腔などに乾燥症状を呈する疾患である。口腔乾燥症の認知度の高まりとともにSSの疑いがある高齢者は増加傾向にあり, 今後SSの病態と口腔乾燥症状に対する一層の理解が必要になると思われる。今回, SSにおける唾液腺病変と加齢の関連性を明らかにする目的で, SS患者の年齢と各種検査所見との相関を解析した。 2005年11月から2009年12月までに北海道大学病院第二内科および高齢者歯科におけるSS外来を受診し, SSと診断された症例のうち同意が得られた27名 (男性3名, 女性24名, 平均年齢50.1歳) を対象とした。SS診断時に行った口唇腺生検とサクソンテスト, MRシアログラフィー (MRS) に関して年齢との相関を検討した。 その結果, 年齢と口唇腺病理像との間に有意な逆相関を認めた (p=0.017)。サクソンテストによる刺激唾液分泌量とMRS所見については年齢との相関は認めなかった。また, 病型による分類では各分類群間で年齢に有意差はみられなかったが, 若年群で続発性および腺外症状のある例が多く認められた。 これらのことから, SSにおける唾液腺病変は必ずしも加齢に伴い進行するとは限らず, 免疫学的変化や環境因子など複数の病態修飾因子が関与することが示唆された。 |
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ISSN: | 0914-3866 1884-7323 |
DOI: | 10.11259/jsg.25.307 |