食習慣変容ステージ別にみた食行動・食品群別摂取状況の変化:女子大学生の1年間の縦断調査結果の分析から

目的 女子学生の食行動および6つの食品群別摂取状況を縦断的に把握し,食習慣変容のステージとの関連を検討することで,行動変容理論を活用した健康教育の一助とすることを目的とした。方法 日本の女子大学生等130人を対象に,食習慣の変容ステージと食行動(朝食欠食,外食,インスタント食品摂取,間食),6つの食品群別摂取状況(たんぱく質,カルシウム,ビタミン・ミネラル,炭水化物,油脂類)に関する1年間の縦断的研究を行った。食行動と食品群別摂取状況は,5件法のリッカートスケールを用いたアンケート調査への回答(自己評価)によって測定された。有意確率は,P<.05を基準とした。結果 学年別・食習慣の変容ステージ...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 71; no. 11; pp. 704 - 712
Main Authors 笠巻, 純一, 笠原, 賀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2024
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.24-012

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Summary:目的 女子学生の食行動および6つの食品群別摂取状況を縦断的に把握し,食習慣変容のステージとの関連を検討することで,行動変容理論を活用した健康教育の一助とすることを目的とした。方法 日本の女子大学生等130人を対象に,食習慣の変容ステージと食行動(朝食欠食,外食,インスタント食品摂取,間食),6つの食品群別摂取状況(たんぱく質,カルシウム,ビタミン・ミネラル,炭水化物,油脂類)に関する1年間の縦断的研究を行った。食行動と食品群別摂取状況は,5件法のリッカートスケールを用いたアンケート調査への回答(自己評価)によって測定された。有意確率は,P<.05を基準とした。結果 学年別・食習慣の変容ステージ別に横断的にみた食行動・食品群別摂取状況の得点では,間食のみに有意差を認め,上位群(実行期,維持期)は中位群(準備期)および下位群(無関心期・関心期)よりも摂取頻度が低かった。食行動および6つの食品群別摂取状況の1年時と2年時の得点変動を1年時の食習慣の変容ステージ別にみると,「無関心期」の学生は,「ビタミン・ミネラル(緑黄色野菜)摂取」,「油脂類摂取」に,「準備期」の学生は「朝食欠食」,「ビタミン・ミネラル(緑黄色野菜)摂取」に,「実行期」の学生は「外食摂取」と「間食」に有意差を認め,1年時から2年時にかけて朝食欠食・外食・間食摂取頻度の増加と各食品群別摂取頻度の低下が見られた。また,1年目から2年目にかけて食習慣の変容ステージが下がった人の割合は,準備期49.0%,実行期100%,維持期77.8%であり,食習慣の改善が認められるステージにおいて,上位から下位への逆戻りのケースが多いことが示された。結論 食習慣に関する健康教育では,対象者の食習慣変容ステージおよび実際の食行動や食習慣の詳細を把握することが不可欠である。その上で各個人のニーズに合わせた教育を展開して,上位の食習慣変容ステージに変容し,かつ維持するように支援することが重要である。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.24-012