腎移植後遷延する副甲状腺機能亢進症に対するPTxの治療効果および腎機能の検討

腎移植後,腎機能の改善とともに,腎性副甲状腺機能亢進症(腎性HPT)により上昇していたintact PTHは低下する。しかし腎移植前に透析歴が長い症例では移植後も高カルシウム(Ca)血症を呈する例が少なくない。特に腎移植前に著しい副甲状腺の腫大を認める場合,腎移植後も持続性HPTを呈する可能性が高いことは想像できる。この場合,腎移植後も副甲状腺摘出術(PTx)を考慮する必要があると考える。今回腎移植後も遷延する24例のHPTに対してPTxを施行した。術後血清Ca,P,ALP,intact PTHは全て統計学的に有意に改善した。PTxは腎移植後のHPTの治療に有効であると考えた。また推算GFR(...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 30; no. 1; pp. 68 - 71
Main Authors 矢澤, 浩治, 高比, 優子, 野々村, 祝夫, 市丸, 直嗣, 奥見, 雅由, 児島, 康行, 高原, 史郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2013
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.30.1_68

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Summary:腎移植後,腎機能の改善とともに,腎性副甲状腺機能亢進症(腎性HPT)により上昇していたintact PTHは低下する。しかし腎移植前に透析歴が長い症例では移植後も高カルシウム(Ca)血症を呈する例が少なくない。特に腎移植前に著しい副甲状腺の腫大を認める場合,腎移植後も持続性HPTを呈する可能性が高いことは想像できる。この場合,腎移植後も副甲状腺摘出術(PTx)を考慮する必要があると考える。今回腎移植後も遷延する24例のHPTに対してPTxを施行した。術後血清Ca,P,ALP,intact PTHは全て統計学的に有意に改善した。PTxは腎移植後のHPTの治療に有効であると考えた。また推算GFR(eGFR)は,術後3カ月では統計学的に有意差は認めなかったが,1年後ではeGFRの低下を認めた。移植腎喪失は認めなかったが,透析期にPTxの適応のある症例では移植前にPTxを積極的に推奨する必要があると考えた。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.30.1_68