副腎皮質癌
副腎皮質癌は,副腎皮質に発生する稀な悪性腫瘍で,その予後は不良である。機能性腫瘍の場合,Cushing徴候や男性化徴候,尿中17-KS・血中DHEA-S値の上昇は副腎皮質癌を疑う所見である。一方,約30%は非機能性のため自覚症状が乏しいこともある。画像検査ではPET-CTの有用性が報告されているが,偽陽性があり確実な診断は難しい。術中は,腫瘍の治癒切除の可否が重要な予後規定因子となることに留意しなければいけない。副腎皮質癌は腫瘍径が大きいことが多く,隣接する臓器へ浸潤をきたす腫瘍では他科と連携をとって手術に臨むことが必要となる。開胸開腹アプローチは良好な視野を確保するのに有用である。術後管理は...
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Published in | 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 33; no. 1; pp. 36 - 40 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 2186-9545 |
DOI | 10.11226/jaesjsts.33.1_36 |
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Summary: | 副腎皮質癌は,副腎皮質に発生する稀な悪性腫瘍で,その予後は不良である。機能性腫瘍の場合,Cushing徴候や男性化徴候,尿中17-KS・血中DHEA-S値の上昇は副腎皮質癌を疑う所見である。一方,約30%は非機能性のため自覚症状が乏しいこともある。画像検査ではPET-CTの有用性が報告されているが,偽陽性があり確実な診断は難しい。術中は,腫瘍の治癒切除の可否が重要な予後規定因子となることに留意しなければいけない。副腎皮質癌は腫瘍径が大きいことが多く,隣接する臓器へ浸潤をきたす腫瘍では他科と連携をとって手術に臨むことが必要となる。開胸開腹アプローチは良好な視野を確保するのに有用である。術後管理は,通常の副腎腫瘍摘出後に準じて行う。副腎皮質癌は治癒切除後であっても再発リスクが高い。腫瘍径が大きい・他臓器への浸潤を認める・リンパ節転移陽性・Ki-67標識率>10%・腫瘍の遺残が疑われるような症例では術後ミトタンによる薬物療法や放射線照射を考慮する。 |
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ISSN: | 2186-9545 |
DOI: | 10.11226/jaesjsts.33.1_36 |