日本人自閉スペクトラム症児における発達性協調運動症の併存状況及びDCDQとM-ABC2の関連について
【はじめに、目的】自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)の子供たちに、発達性協調運動症 (Developmental Coordination Disorder: DCD)と呼ばれる身体的 な不器用さ、協調運動の困難さが併存することが知られている。 DCDとは協調技能の獲得や遂行が年齢や学習の機会に比べて明 らかに劣っており、そのことが日常生活の活動に支障をきたしているという神経発達症のひとつである。国際推奨では、 Developmental Coordination Disorder Questionnaire(DCDQ)、 Movement Ass...
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Published in | 小児理学療法学 Vol. 2; no. Supplement_1; p. 110 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児理学療法学会
31.03.2024
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Summary: | 【はじめに、目的】自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)の子供たちに、発達性協調運動症 (Developmental Coordination Disorder: DCD)と呼ばれる身体的 な不器用さ、協調運動の困難さが併存することが知られている。 DCDとは協調技能の獲得や遂行が年齢や学習の機会に比べて明 らかに劣っており、そのことが日常生活の活動に支障をきたしているという神経発達症のひとつである。国際推奨では、 Developmental Coordination Disorder Questionnaire(DCDQ)、 Movement Assessment Battery for Children-second Edition(M-ABC2)がエビデンスのあるDCDのアセスメントとされている。しかし、本邦ではDCDの認知度が未だ低く、その現状やASD児におけるDCDの併存状況、DCDQとM-ABC2の関連についても十分には検討されていない。本研究は、日本人ASD児におけるDCDの併存状況および、DCDQとM-ABC2の関連について明らかにすることを目的とする。 【方法】対象は、本大学病院精神科に通う5歳から15歳のASD児22名。保護者に対しDCDQ日本語版を実施し、運動機能測定を希望した児に対してM-ABC2を行った。検討にはDCDQの総得点とM-ABC2の合計点および標準得点を用いた。Nakaiら (RIDD,2011)の日本人6,330名における年齢・男女別のDCDQ総得点の平均値と標準偏差から-2SD、M-ABC2の合計点の5パーセンタイル以下をDCD併存のカットオフ値とした。正規化さ れたDCDQの総得点のSD値とM-ABC2の合計点、標準得点との関連をPearsonの積立相関係数を用いて検討した。統計学的解析にはEZRを使用した。 【結果】22名のASD児は、男児20名、年齢6-15歳、中央値11歳とほとんどが男児であり、その内11名でM-ABC2を実施した (男児11名,年齢6-13歳,中央値11歳)。ASD児におけるDCDの併存割合は、DCDQ総得点で-2SD以下の児が32%、M-ABC2で5パーセンタイル以下の児は55%であった。DCDQ総得点と M-ABC2の合計点および標準得点において、有意な相関はみられなかった(それぞれr=0.519,p=0.12.r=0.609,p=0.062)。 【考察】本邦のものを含めた先行研究の結果と異なり、本研究ではASDにおけるDCDの併存状況は比較的低く、DCDQと M-ABC2の相関は見られなかった。症例数が少ないこと、 DCDQは保護者から見た日常での困難さを評価しており、個別検査であるM-ABC2の各課題に比べより高度で複雑な協調の項目を含んでいることなどが要因と思われる。今後、更に症例数を増やし、DCDQの下位項目とM-ABC2の下位検査との関連など含め、詳細に検討していく必要がある。 【倫理的配慮】本大学医学部・病院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:B21-139) |
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ISSN: | 2758-6456 |
DOI: | 10.60187/jjppt.2.Supplement_1_110 |