多発外傷に対する集中治療後に発生した良性腸管気腫症:自験3例の臨床的特徴

腸管気腫症の病的意義は明らかではないが,腸管虚血や腸管壊死などの致死的な腹腔内病態を考慮することが必要である.今回,多発外傷に対する集中治療後に腸管気腫症を認め,保存的に軽快した良性腸管気腫症3例を経験したので,臨床的特徴を報告する.3例のいずれも高齢者多発外傷の集中治療後に生じ,発症時における低血圧や昇圧薬の使用はなく,明らかな腹部症状や腹膜炎所見,全身性炎症反応を認めていない.また,全例に先行する下痢を認め,腸管気腫はいずれも大腸に限局し,腹水や門脈ガス血症を伴わず,保存的治療にて改善した.本病態は,多発外傷に対する集中治療後に発生する良性腸管気腫症として捉えることができるものと考えられる...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJournal of the Japanese Association for the Surgery of Trauma Vol. 30; no. 3; pp. 316 - 320
Main Authors 大邉, 寛幸, 佐藤, 武揚, 久志本, 成樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 2016
The Japanese Association for the Surgery of Trauma
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.30.316

Cover

Loading…
More Information
Summary:腸管気腫症の病的意義は明らかではないが,腸管虚血や腸管壊死などの致死的な腹腔内病態を考慮することが必要である.今回,多発外傷に対する集中治療後に腸管気腫症を認め,保存的に軽快した良性腸管気腫症3例を経験したので,臨床的特徴を報告する.3例のいずれも高齢者多発外傷の集中治療後に生じ,発症時における低血圧や昇圧薬の使用はなく,明らかな腹部症状や腹膜炎所見,全身性炎症反応を認めていない.また,全例に先行する下痢を認め,腸管気腫はいずれも大腸に限局し,腹水や門脈ガス血症を伴わず,保存的治療にて改善した.本病態は,多発外傷に対する集中治療後に発生する良性腸管気腫症として捉えることができるものと考えられる.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.30.316