医学系学生のHIV感染症及びその診療に関する意識とその問題点

目的: 将来の医療従事者となる医学系学生の異なる学年に対しHIV・エイズに関するアンケート調査を行い, 学生のHIV感染症, エイズ患者に関する知識や意識を明らかにし, 学生のHIV教育における問題点を明らかにする. 対象・方法:佐賀医科大学医学科1年, 4年および5年生の計246名にアンケート調査を行った. アンケートはHIV感染症に関する知識患者に対する意識さらにその検査や診療に関する質問を行った. 結果: HIV感染症に対する基本的な知識 (病因, 感染経路, 臨床経過など) については9割以上の学生が正しく回答していた. 感染者に対する意識では, 大多数の学生は感染者に対し差別的行動を...

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Published in日本エイズ学会誌 Vol. 2; no. 2; pp. 103 - 110
Main Authors 濱野, 香苗, 井上, 悦子, 只野, 壽太郎, 武市, 昌士, 尾崎, 岩太, 佐野, 雅之, 武富, 弥栄子, 竹熊, 麻子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本エイズ学会 20.05.2000
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ISSN1344-9478
1884-2763
DOI10.11391/aidsr1999.2.103

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Summary:目的: 将来の医療従事者となる医学系学生の異なる学年に対しHIV・エイズに関するアンケート調査を行い, 学生のHIV感染症, エイズ患者に関する知識や意識を明らかにし, 学生のHIV教育における問題点を明らかにする. 対象・方法:佐賀医科大学医学科1年, 4年および5年生の計246名にアンケート調査を行った. アンケートはHIV感染症に関する知識患者に対する意識さらにその検査や診療に関する質問を行った. 結果: HIV感染症に対する基本的な知識 (病因, 感染経路, 臨床経過など) については9割以上の学生が正しく回答していた. 感染者に対する意識では, 大多数の学生は感染者に対し差別的行動をとらないと答えている. しかし, 自分が感染した場合には30%を超える学生が回避的行動をとられるだろうと答え, 自分が感染した場合と他人が感染した場合の行動にはギャップがみられ, 差別につながる要因が潜んでいることがうかがわれた. 学年が上がるにつれ医学的知識は増えているが, 病棟実習を終了した段階でさえも自分の所属する大学病院でHIV感染者に対して適切な対応ができるかどうかについて, 診療では24.2%が, 手術では41 .9%が確信が持てないでいた. 結論: 現在の大学におけるエイズ教育では, 行動レベルの変化をもたらすような有効な教育は未だ不十分であり, より実地に即した教育が今後の課題と考えられる.
ISSN:1344-9478
1884-2763
DOI:10.11391/aidsr1999.2.103