地域在住高齢者における身体・精神機能,口腔機能および併存疾患と転倒経験の関連:クラスター分析
【はじめに】高齢者の転倒の要因は,生物学的要因,環境的要因,社会経済的要因などが報告されており,転倒を予防するためには,転倒と要因との関連を多角的に捉える必要がある.先行研究では,多疾患罹患,身体・精神機能,日常生活動作困難によってクラスター分析を行い,それと転倒との関連を評価しているものが多い.しかし,高齢者の状態像を包括的にアセスメントするには,認知機能や口腔機能等の多要因を含める必要がある.本研究の目的は,地域在住高齢者の身体機能,精神機能,認知機能,口腔機能および併存疾患による分類を行い,それと転倒経験との関連を検討することとした.【方法】2015年に東京都A区において実施された「介護...
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Published in | 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 65 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本予防理学療法学会
01.12.2022
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Summary: | 【はじめに】高齢者の転倒の要因は,生物学的要因,環境的要因,社会経済的要因などが報告されており,転倒を予防するためには,転倒と要因との関連を多角的に捉える必要がある.先行研究では,多疾患罹患,身体・精神機能,日常生活動作困難によってクラスター分析を行い,それと転倒との関連を評価しているものが多い.しかし,高齢者の状態像を包括的にアセスメントするには,認知機能や口腔機能等の多要因を含める必要がある.本研究の目的は,地域在住高齢者の身体機能,精神機能,認知機能,口腔機能および併存疾患による分類を行い,それと転倒経験との関連を検討することとした.【方法】2015年に東京都A区において実施された「介護予防チェックリスト」調査(郵送法による自記式)のデータを用いた.対象者は,要介護認定を受けていない65歳以上の地域在住高齢者132,005名であった.調査項目は,身体機能(Motor Fitness Scaleで測定),精神機能(うつのスクリーニングである二質問法で測定),認知機能,口腔機能(それぞれ基本チェックリストで測定),併存疾患数,過去一年間の転倒経験であった.統計解析は,k-means法によるクラスター分析を行った後,転倒経験をアウトカムとし,性別,年齢,婚姻状況,就業の有無,独居の有無,教育歴,生活のゆとり,喫煙の有無,運動習慣,体格指数を調整した二項ロジスティック回帰分析を行った.【結果】78,917名(59.8%)から回答を得て,そのうち有効回答は73,999名(56.1%)であった.平均年齢(標準偏差)は,73.2(6.1)歳,58.6%が女性であった.クラスター分析により,全般良好群(32,735名),全般やや低下群(17,410名),全般中程度低下群(12,958名),全般低下群(7,467名)の4群に分類した.各グループの転倒割合は,それぞれ10.3%,17.9%,25.9%,41.2%であった.全般良好群を基準とした各群の転倒経験リスク(オッズ比)は,全般やや低下群1.81(95% 信頼区間:1.71-1.91),全般中程度低下群2.74(2.58-2.92),全般低下群5.39(5.01-5.79)であった.【結論】転倒のリスク因子といわれる身体機能,精神機能,認知機能,口腔機能,併存疾患により,地域在住高齢者を特徴的な4つの群に分類することができた.転倒割合は,各機能が総合的に低下している群で最も高いことが明らかになった.【倫理的配慮、説明と同意】本研究は,東京都健康長寿医療センターの倫理審査委員会の承認を受け実施した.対象者には調査の趣旨および個人情報保護について説明し,調査票の返送をもって同意とみた. |
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ISSN: | 2758-7983 |
DOI: | 10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.1.0_65 |