頚椎術後患者に対する新頚椎枕の作成と導入——患者の安全安楽とスタッフの労力削減を目指して

当センターで頚椎手術後に使用していた高さが均一な枕は,頚部の安静保持と側臥位時の高さ調整のために砂嚢を併用していた.砂嚢は衛生面やスタッフの労力などの管理面で問題があったため,単独でも頚部の安定性が維持できる新たな頚椎枕を設計・作成した.具体的には,側臥位時に側頭部を置く左右区画と仰臥位時に後頭部を置く中央区画の三つの区画に分かれた枕とした.導入に際しては圧測定器や質問紙調査によるスタッフへの予備試験を行い,導入後の評価に際しては術後出血量や神経症状悪化の有無などの臨床データを調査し,さらに患者およびスタッフへの質問紙調査も行った.これらの結果,新頚椎枕はサイズ感や体圧面で安全性を損なわず,か...

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Published in日本運動器看護学会誌 Vol. 16; pp. 37 - 43
Main Authors 西田, 和美, 村川, 桂子, 柴田, 有里香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動器看護学会 28.02.2021
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ISSN2186-635X
2435-001X
DOI10.34324/jsmn.16.0_37

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Summary:当センターで頚椎手術後に使用していた高さが均一な枕は,頚部の安静保持と側臥位時の高さ調整のために砂嚢を併用していた.砂嚢は衛生面やスタッフの労力などの管理面で問題があったため,単独でも頚部の安定性が維持できる新たな頚椎枕を設計・作成した.具体的には,側臥位時に側頭部を置く左右区画と仰臥位時に後頭部を置く中央区画の三つの区画に分かれた枕とした.導入に際しては圧測定器や質問紙調査によるスタッフへの予備試験を行い,導入後の評価に際しては術後出血量や神経症状悪化の有無などの臨床データを調査し,さらに患者およびスタッフへの質問紙調査も行った.これらの結果,新頚椎枕はサイズ感や体圧面で安全性を損なわず,かつ患者の術後経過へ悪影響を及ぼすことなく導入することができた.新頚椎枕は術後の創痛や安静を強いられる苦痛などを軽減・消失させるものではないが,砂嚢を併用する症例がなくなったことで,スタッフの砂嚢運搬労力の軽減,ポジショニングの時間短縮を図ることができたとともに,衛生面の改善にもつながった.
ISSN:2186-635X
2435-001X
DOI:10.34324/jsmn.16.0_37