ムコ多糖症のある幼児児童生徒への教育的支援に関する保護者の認識

本研究は、ムコ多糖症のある幼児児童生徒への教育に対する保護者の認識を明らかにすることを目的とした。日本ムコ多糖症親の会に所属する学齢期の子どもをもつ保護者57名を対象とし、質問紙調査を実施した。その結果、教科学習で約4割、体育で約7割の児童生徒に教育的支援が行われたと保護者は認識していた。その支援内容は、健康への配慮や学習保障が多い一方、自己管理能力の育成は皆無であった。教師や保護者は本人の健康に配慮する必要があるが、子ども自身が自己管理できるように発達段階等に応じた支援も求められる。また、年齢の上昇とともに症状が進行するため、特別支援学校に在籍する割合が徐々に増加しており、在籍する特別支援学...

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Published in特殊教育学研究 Vol. 53; no. 3; pp. 175 - 183
Main Authors 永井, 祐也, 武田, 鉄郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本特殊教育学会 2015
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Summary:本研究は、ムコ多糖症のある幼児児童生徒への教育に対する保護者の認識を明らかにすることを目的とした。日本ムコ多糖症親の会に所属する学齢期の子どもをもつ保護者57名を対象とし、質問紙調査を実施した。その結果、教科学習で約4割、体育で約7割の児童生徒に教育的支援が行われたと保護者は認識していた。その支援内容は、健康への配慮や学習保障が多い一方、自己管理能力の育成は皆無であった。教師や保護者は本人の健康に配慮する必要があるが、子ども自身が自己管理できるように発達段階等に応じた支援も求められる。また、年齢の上昇とともに症状が進行するため、特別支援学校に在籍する割合が徐々に増加しており、在籍する特別支援学校では医療的ケアが十分でないために学籍を移動する事例もあった。医療的ケアが必要になっても、在籍する特別支援学校で対応できるように、より一層医療的ケアの実施環境を整備することが求められる。
ISSN:0387-3374
2186-5132
DOI:10.6033/tokkyou.53.175