居住区の代表地点から算出したWalk score®と閉じこもり及びフレイル発生状況との関連:市内141地区を対象とした横断研究

【目的】本研究はA市内141地区を対象に, 代表地点から算出されたWalk score®がその地区の閉じこもりやフレイルの発生状況をどの程度説明可能かを検証するとともに, Walkabilityと閉じこもり, およびフレイルの発生状況との関連構造を横断的に検証することを目的とした. 【方法】2013年から2014年に実施されたA市内全高齢者を対象に実施された基本チェックリスト調査 (n = 49401, 有効回答率 55%) から市内141地区の居住区における閉じこもりの該当率とフレイル割合を算出した. 各居住区の歩行環境はWalk score®のホームページに各居住区の代表地点を入力し, 各...

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Published in日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 49
Main Authors 清水, 夏生, 新井, 智之, 三浦, 佳代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2024
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Summary:【目的】本研究はA市内141地区を対象に, 代表地点から算出されたWalk score®がその地区の閉じこもりやフレイルの発生状況をどの程度説明可能かを検証するとともに, Walkabilityと閉じこもり, およびフレイルの発生状況との関連構造を横断的に検証することを目的とした. 【方法】2013年から2014年に実施されたA市内全高齢者を対象に実施された基本チェックリスト調査 (n = 49401, 有効回答率 55%) から市内141地区の居住区における閉じこもりの該当率とフレイル割合を算出した. 各居住区の歩行環境はWalk score®のホームページに各居住区の代表地点を入力し, 各居住区のWalkabilityを0~100点で算出した. 統計解析では, 居住区のWalk score®と閉じこもりの該当率 , 及びフレイル割合との関連をSpearmanの順位相関係数および単回帰分析にて検証した. また, X (独立変数:Walk score) –M (媒介変数:閉じこもり該当率) – Y (従属変数:フレイル割合) の媒介モデルを作成し, 媒介分析 (ブートストラップ法, リサンプリング数2000) にてWalkability, 閉じこもり, フレイルとの関連構造を検証した.全ての解析の有意水準は5%とした. 【結果】全地区における各指標の中央値 (範囲) はWalk score®が70.0 (14.0 – 98.0) 点, 閉じこもりが4.7 (0.0 – 16.2)%で, フレイル割合が9.0 (1.0 – 25.8) %であった. 相関分析では, Walk score®は閉じこもり該当率(rs = -0.342), フレイル割合 (rs = -0.204)と有意な負の相関を示した. また, 単回帰分析では Walk score®は閉じこもり該当率 (β = -0.295) とフレイル割合 (β = -0.281) に対する有意な説明変数として認められた. さらに,媒介分析の結果, Walk score®はフレイル割合に対して有意な総合効果を認めた. また, X-Yに有意な直接効果を認め, X-M-Yに有意な間接効果が認められた. 【考察】居住区の代表地点から算出されたWalk score®は, その居住区における閉じこもりとフレイル割合を予測するため の地域診断指標の1つになる可能性が示唆された. また, X-M-Yに部分媒介モデルが成立したことから, 不良なWalkabilityは閉じこもりリスクの助長によるフレイル発生の源流的な危険因子の1つとなり得ると考えられ, Walkabilityの改善は地域における介護予防の施策立案における着眼点の1つになると考えられる. 【倫理的配慮】本研究は埼玉医科大学保健医療学部倫理委員会の承認(申請番号89,89-2)を得て行った。
Bibliography:YOS-11-3
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_49