慢性咳嗽に九味檳榔湯が奏功した2症例

咳喘息は,慢性咳嗽の原因疾患として最も多く,喘息にも移行することもあることから,適切な治療介入が必要である。今回,一般的な薬物療法に抵抗を示し九味檳榔湯を追加投与することで症状の改善を認めた2症例を経験した。症例1は46才女性。乳がん術後のホルモン治療中の患者で,5年前より咳喘息となり薬物加療を行っていたが,症状悪化し,夜間も咳嗽が続き症状改善せず九味檳榔湯を使用したところ症状の改善を認めた。症例2は47才女性。出産を機に咳喘息を発症し,増悪軽快を繰り返していた。職場移動を機に増悪,薬物療法にても改善せず九味檳榔湯と半夏厚朴湯を内服,その後は九味檳榔湯のみで改善した。いずれも季節性を認めた。九...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 77 - 81
Main Authors 岸野, 大蔵, 薄木, 成一郎, 福永, 智栄, 岡田, 直己, 西本, 隆, 岩田, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2020
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.71.77

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Summary:咳喘息は,慢性咳嗽の原因疾患として最も多く,喘息にも移行することもあることから,適切な治療介入が必要である。今回,一般的な薬物療法に抵抗を示し九味檳榔湯を追加投与することで症状の改善を認めた2症例を経験した。症例1は46才女性。乳がん術後のホルモン治療中の患者で,5年前より咳喘息となり薬物加療を行っていたが,症状悪化し,夜間も咳嗽が続き症状改善せず九味檳榔湯を使用したところ症状の改善を認めた。症例2は47才女性。出産を機に咳喘息を発症し,増悪軽快を繰り返していた。職場移動を機に増悪,薬物療法にても改善せず九味檳榔湯と半夏厚朴湯を内服,その後は九味檳榔湯のみで改善した。いずれも季節性を認めた。九味檳榔湯は,咳喘息の改善に寄与する可能性が示された。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.71.77