横断研究による推定24時間尿中ナトリウム・カリウム比およびBMIと血圧との関連:神戸研究
目的 食事中のナトリウム・カリウム比やBMIの高値が高血圧の有病率を高めることは知られているが,これらの組み合わせと高血圧との関連の報告は少ない。本研究では,推定24時間尿中ナトリウム・カリウム比(24h-u-Na/K)(高/低)とBMI(高/低)の組み合わせにおける血圧高値有所見リスクを検討した。方法 心血管疾患や高血圧の治療中でない者が対象の神戸研究ベースライン調査の参加者1,112人(男性340人,女性772人)を横断研究で検討した。解析は男女別に行った。24h-u-Na/Kは,随時尿を用い,推定式で算出した。24h-u-Na/Kは男女別の中央値で,BMIは25 kg/m2で各2群(高/...
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Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 67; no. 10; pp. 722 - 733 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
15.10.2020
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Summary: | 目的 食事中のナトリウム・カリウム比やBMIの高値が高血圧の有病率を高めることは知られているが,これらの組み合わせと高血圧との関連の報告は少ない。本研究では,推定24時間尿中ナトリウム・カリウム比(24h-u-Na/K)(高/低)とBMI(高/低)の組み合わせにおける血圧高値有所見リスクを検討した。方法 心血管疾患や高血圧の治療中でない者が対象の神戸研究ベースライン調査の参加者1,112人(男性340人,女性772人)を横断研究で検討した。解析は男女別に行った。24h-u-Na/Kは,随時尿を用い,推定式で算出した。24h-u-Na/Kは男女別の中央値で,BMIは25 kg/m2で各2群(高/低)に分けた。血圧高値は収縮期血圧(SBP)≧130 mmHgまたは拡張期血圧(DBP)≧80 mmHgと定義した。血圧高値をアウトカムとした24h-u-Na/KおよびBMIを組み合わせたリスク重積別のオッズ比はロジステック回帰分析で検討した。結果 SBP/DBPの平均値は男性122.7/77.9 mmHg,女性113.3/69.1 mmHgであり,男性の47.4%,女性の21.3%が血圧高値であった。BMIの平均値は男性22.8 kg/m2,女性20.9 kg/m2,24h-u-Na/Kの中央値は男性3.2,女性3.1であった。24h-u-Na/KとBMIの組み合わせによる血圧高値の有所見率(男性,女性)は,高24h-u-Na/K・高BMI群(60.0%,62.9%)で最も高かった(男性P=0.273,女性P<0.001)。また,低24h-u-Na/K・低BMI群と比較した血圧高値の多変量調整オッズ比は,高24h-u-Na/K・高BMI群の男性で2.59(95% confidence interval, CI:1.15-5.86),女性で10.78(95% CI:4.87-23.88),高24h-u-Na/K・低BMI群の女性で1.62(95% CI:1.10-2.40)であった。結論 血圧高値の有所見リスクは,BMIと24h-u-Na/Kの両方が高い場合に最も高かった。現在の特定保健指導では肥満に着目しているが,高血圧の予防には減塩に加えて野菜,果物の摂取増加をより強く推奨する等ナトリウム・カリウム比にも着目した指導がより有効と考えた。 |
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ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.67.10_722 |