漢方方剤への反応から診断に至った心因性発熱の1女児例

症例は6歳0ヶ月女児。38.0 ℃を超える発熱が遷延するため5歳10ヶ月時に当科へ紹介された。血液検査・造影 CT にて異常無く,解熱剤への反応も認められず,心因性発熱が疑われたが,心理的要因は不明であった。【生活歴】4歳11ヶ月まで父の祖国に在住(父外国籍/母日本人),帰国予定あり。【現症】身長117.5 cm,体重18.7 kg,体温37.4 ℃,心音および呼吸音に異常。【臨床経過】5種類の漢方方剤を順次試用した。加味逍遥散および抑肝散では体温が38.0 ℃を超える頻度が減少し,加味帰脾湯では38.0 ℃を超えることが無かった。家族関係および漠然とした不安感が背景にあると考え確認したところ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 47 - 52
Main Authors 髙木, 香津子, 杉山, 隆, 上田, 晃三, 伊東, 真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.75.47

Cover

More Information
Summary:症例は6歳0ヶ月女児。38.0 ℃を超える発熱が遷延するため5歳10ヶ月時に当科へ紹介された。血液検査・造影 CT にて異常無く,解熱剤への反応も認められず,心因性発熱が疑われたが,心理的要因は不明であった。【生活歴】4歳11ヶ月まで父の祖国に在住(父外国籍/母日本人),帰国予定あり。【現症】身長117.5 cm,体重18.7 kg,体温37.4 ℃,心音および呼吸音に異常。【臨床経過】5種類の漢方方剤を順次試用した。加味逍遥散および抑肝散では体温が38.0 ℃を超える頻度が減少し,加味帰脾湯では38.0 ℃を超えることが無かった。家族関係および漠然とした不安感が背景にあると考え確認したところ,父の祖国への帰国がストレスになっていたと判明し,心因性発熱の診断に至った。【結語】症状の背景に潜む病因を探る場合,漢方方剤への反応性を参考にすることは有用と考えられる。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.75.47