コピュラの違いが最適資産配分に与える影響の研究―非対称tコピュラと正規コピュラ,tコピュラの比較

本研究では,近年金融分野で注目される非対称tコピュラと他の代表的な多変量コピュラである正規コピュラ,tコピュラを用いて,コピュラの違いがテイルリスクを考慮した最適資産配分に与える影響について研究する.分析対象は実務の資産配分で重要な債券,クレジット,株式,不動産(REIT)とし,(1) コピュラの違いがCVaR制約付き期待収益率最大化問題やCVaR最小化問題の最適投資比率に与える影響,(2) コピュラ毎のCVaR最小化ポートフォリオのパフォーマンスに関する特徴を考察する.分析結果から,正規コピュラやtコピュラはAIC規準で選択された非対称tコピュラに対して,分布の裾での分散投資効果を大きく評価...

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Published in現代ファイナンス Vol. 45; pp. 1 - 29
Main Authors 夷藤, 翔, 牧本, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ファイナンス学会 MPTフォーラム 31.05.2022
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ISSN2433-4464
DOI10.24487/gendaifinance.450003

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Summary:本研究では,近年金融分野で注目される非対称tコピュラと他の代表的な多変量コピュラである正規コピュラ,tコピュラを用いて,コピュラの違いがテイルリスクを考慮した最適資産配分に与える影響について研究する.分析対象は実務の資産配分で重要な債券,クレジット,株式,不動産(REIT)とし,(1) コピュラの違いがCVaR制約付き期待収益率最大化問題やCVaR最小化問題の最適投資比率に与える影響,(2) コピュラ毎のCVaR最小化ポートフォリオのパフォーマンスに関する特徴を考察する.分析結果から,正規コピュラやtコピュラはAIC規準で選択された非対称tコピュラに対して,分布の裾での分散投資効果を大きく評価,CVaRを小さく評価し,相対的にハイリスクな株式等の最適投資比率を高めることを示した.また,債券,クレジット,株式,不動産(REIT)の4資産での実証分析の結果,非対称tコピュラを用いた場合の下方リスク対比のソルティノ・レシオやカルマ―・レシオでのパフォーマンスが,正規コピュラや tコピュラに比べ改善することが示された.
ISSN:2433-4464
DOI:10.24487/gendaifinance.450003