(E)-1-(2,4-Dichlorophenyl)-4,4-dimethyl-2-(1,2,4-triazol-1-yl)-1-penten-3-ol (S-3308L) の光学異性体の抗菌性および植物成長調節活性

S-3308Lの光学異性体 (R(-) 異性体およびS(+) 異性体) について, 抗菌活性および植物に対する作用を比較した. in vitro における抗菌活性を調べたところ, 接合菌類, 子嚢菌類, 担子菌類, 不完全菌類に対して, R(-) 異性体のほうがS(+) 異性体に比べて数倍から数百倍以上の高活性を示した. しかし, R(-) 異性体の卵菌類に対する抗菌力は弱く, 異性体間の活性差も認められなかった. ポット試験においても, 同様の活性差が認められ, R(-) 異性体は, S(+) 異性体よりも高い病害防除効果を示した. さらに, R(-) 異性体は, 気化作用による防除効果をも...

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Published inJournal of Pesticide Science Vol. 11; no. 3; pp. 373 - 378
Main Authors 高野, 仁孝, 小栗, 幸男, 加藤, 寿郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農薬学会 1986
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Summary:S-3308Lの光学異性体 (R(-) 異性体およびS(+) 異性体) について, 抗菌活性および植物に対する作用を比較した. in vitro における抗菌活性を調べたところ, 接合菌類, 子嚢菌類, 担子菌類, 不完全菌類に対して, R(-) 異性体のほうがS(+) 異性体に比べて数倍から数百倍以上の高活性を示した. しかし, R(-) 異性体の卵菌類に対する抗菌力は弱く, 異性体間の活性差も認められなかった. ポット試験においても, 同様の活性差が認められ, R(-) 異性体は, S(+) 異性体よりも高い病害防除効果を示した. さらに, R(-) 異性体は, 気化作用による防除効果をも有していた. また, 両異性体とも, 植物体への浸透移行性を示し, とくにR(-) 異性体では, 鉢当り0.1mgの根部処理で, コムギうどんこ病が完全に防除された. 一方, キュウリに対する作用では, 両異性体とも, 葉の展開に対しては, ほとんど影響を与えなかったが, 茎の伸長に対しては, S(+) 異性体がR(-) 異性体に比べて, はるかに強い抑制作用を示した.
ISSN:1348-589X
1349-0923
DOI:10.1584/jpestics.11.373