眼底出血を伴った破裂脳動脈瘤の予後
破裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血においては, 諸家の報告によれば8.5~40.5%の症例に眼底出血がみられる3, 5, 6, 9, 11-14, 17, 19, 21). この眼底出血はクモ膜下出血の予後が不良であることを示唆する重要な徴候である. Shawら16)は, 眼底出血を合併しないクモ膜下出血の死亡率は19.7%であるのに対して, 合併したものの死亡率は53.6%の高値を示すと報告した. 本論文において我々は, 破裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血にみられた眼底出血について臨床統計学的な検索を行った. 対象および方法 1971年1月から1984年8月までの13年8ヵ月間に, 我々は眼底所見の...
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Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 26; no. 9; pp. 689 - 694 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
01.01.1986
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ISSN | 0470-8105 |
DOI | 10.2176/nmc.26.689 |
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Summary: | 破裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血においては, 諸家の報告によれば8.5~40.5%の症例に眼底出血がみられる3, 5, 6, 9, 11-14, 17, 19, 21). この眼底出血はクモ膜下出血の予後が不良であることを示唆する重要な徴候である. Shawら16)は, 眼底出血を合併しないクモ膜下出血の死亡率は19.7%であるのに対して, 合併したものの死亡率は53.6%の高値を示すと報告した. 本論文において我々は, 破裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血にみられた眼底出血について臨床統計学的な検索を行った. 対象および方法 1971年1月から1984年8月までの13年8ヵ月間に, 我々は眼底所見の明らかなクモ膜下出血を564例経験した. 内訳は男性が268例, 女性が296例であり, 年齢は16才から86才まで, 平均53.7才であった. 破裂脳動脈瘤の部位別内訳は, 前交通動脈瘤(以下Acom)179例, 内頸動脈瘤(以下IC)147例, 中大脳動脈瘤(以下MC)95例, 前大脳動脈瘤(以下AC)21例, 椎骨脳底動脈瘤(以下VB)35例および多発性脳動脈瘤(以下multi)87例である. 本論文では性別, 年齢別, 脳動脈瘤の部位別に眼底出血の出現頻度を検索し, 同時に眼底出血の有無, 程度と機能的予後, 生命予後との関係を検索した. |
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ISSN: | 0470-8105 |
DOI: | 10.2176/nmc.26.689 |