被膜内にアミロイド小体がみられた小脳後部glio-ependymal cystの1例

CTスキャンの普及により頭蓋内に嚢胞性病変をみる機会が増えたが2, 5, 14), arachnoid cystやglio-ependymal cystなどのいわゆるmeningeal cystはその代表的なものである. Arachnoid cystはクモ膜を2分して生ずる脳脊髄液の限局性・膨隆性貯留であり, 周辺部では内外2葉の被膜は癒合しクモ膜へと移行する. 組織学的には, 被膜はクモ膜に似た線維性結合織であり, 典型例には内腔側を画する上衣細胞層はない. 一方, glio-ependymal cystは肉眼的にはarachnoid cystに似ているが, 組織学的には被膜内にグリア組織や...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 25; no. 5; pp. 387 - 392
Main Authors 山嶋哲盛, 早瀬秀男, 木多真也, 山口成仁, 池田清延, 山本信二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 01.01.1985
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Summary:CTスキャンの普及により頭蓋内に嚢胞性病変をみる機会が増えたが2, 5, 14), arachnoid cystやglio-ependymal cystなどのいわゆるmeningeal cystはその代表的なものである. Arachnoid cystはクモ膜を2分して生ずる脳脊髄液の限局性・膨隆性貯留であり, 周辺部では内外2葉の被膜は癒合しクモ膜へと移行する. 組織学的には, 被膜はクモ膜に似た線維性結合織であり, 典型例には内腔側を画する上衣細胞層はない. 一方, glio-ependymal cystは肉眼的にはarachnoid cystに似ているが, 組織学的には被膜内にグリア組織や上衣細胞層をもつことで容易に鑑別される6). 最近我々は, 臨床的に小脳後部のarachnoidcystと診断されたが, 組織学的にglio-ependymalcystであることが判明した1例を経験した. しかも, 被膜内のグリア組織の中には多数のアミロイド小体が形成されており, きわめて珍しい症例と思われた.
ISSN:0470-8105
DOI:10.2176/nmc.25.387