固形腫瘍の包括的遺伝子パネル検査の現状と展望

2019年から開始された本邦におけるがんゲノム医療ではこれまでに7万例以上の検査が行われている。現在5種類がん遺伝子パネル検査が承認されており,組織検査とリキッドバイオプシーの違いや各検査の特徴を考慮した使用がされている。がんゲノム医療ではエキスパートパネルが検査結果を評価し,推奨される候補薬や治験・臨床試験などについて検討するが,44.5%の症例で開発治験への参加などを含む治療選択肢が提示され,9.4%の患者がその提示治療を受けた。患者の治療選択肢を増やす目的の受け皿試験,検査の適応拡大を目指した臨床試験,ゲノム医療の枠組みを活用したマスタープロトコル試験が進められている。C-CATは日本の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内分泌外科学会雑誌 Vol. 41; no. 2; pp. 109 - 113
Main Authors 田尾, 佳代子, 河野, 隆志, 高阪, 真路
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内分泌外科学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2434-6535
2758-8785
DOI10.11226/ojjaes.41.2_109

Cover

Loading…
More Information
Summary:2019年から開始された本邦におけるがんゲノム医療ではこれまでに7万例以上の検査が行われている。現在5種類がん遺伝子パネル検査が承認されており,組織検査とリキッドバイオプシーの違いや各検査の特徴を考慮した使用がされている。がんゲノム医療ではエキスパートパネルが検査結果を評価し,推奨される候補薬や治験・臨床試験などについて検討するが,44.5%の症例で開発治験への参加などを含む治療選択肢が提示され,9.4%の患者がその提示治療を受けた。患者の治療選択肢を増やす目的の受け皿試験,検査の適応拡大を目指した臨床試験,ゲノム医療の枠組みを活用したマスタープロトコル試験が進められている。C-CATは日本のがんゲノム医療において,がん遺伝子パネル検査に基づく診療の支援,データの蓄積と管理,蓄積データの二次利活用促進,がんゲノム医療に関する情報の共有と人材の育成を担い活動している。価値のある膨大なリアルワールドデータが日本のデータベースとして構築され,アカデミアや企業による新薬開発に向けた二次利活用が始まっている。
ISSN:2434-6535
2758-8785
DOI:10.11226/ojjaes.41.2_109