PICC回診によるカテーテル管理とその効果

【目的】末梢挿入型中心静脈カテーテル(以下、PICCと略)は致命的合併症の少ないカテーテルとして知られ、本邦でも徐々に普及してきた。しかし、我々の施設では留置後に合併症により抜去されるものが多かった。その原因は留置後の不適切な管理であると考え、PICC管理の現状把握と看護師への指導のため、2014年6月19日から回診方式のサーベイランス(PICC回診)を開始した。1年を経過した時点で、その効果を後方視的に評価した。【方法】週1回、カテーテル固定方法・輸液ルートの観察を行い、不適切な点を指摘・指導した。また、日常的な管理のため、独自マニュアルを作成して全病棟に配布した。2014年6月~2015年...

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Published in日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol. 32; no. 5; pp. 1489 - 1494
Main Authors 中村, 高秋, 鎌田, 正, 井田, 智治, 小見山, こず恵, 瀬川, 裕佳, 高田, 和典, 石川, 博己, 黒川, あかね, 茂森, 賢太, 池田, 和弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会 2017
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ISSN2189-0161
2189-017X
DOI10.11244/jspen.32.1489

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Summary:【目的】末梢挿入型中心静脈カテーテル(以下、PICCと略)は致命的合併症の少ないカテーテルとして知られ、本邦でも徐々に普及してきた。しかし、我々の施設では留置後に合併症により抜去されるものが多かった。その原因は留置後の不適切な管理であると考え、PICC管理の現状把握と看護師への指導のため、2014年6月19日から回診方式のサーベイランス(PICC回診)を開始した。1年を経過した時点で、その効果を後方視的に評価した。【方法】週1回、カテーテル固定方法・輸液ルートの観察を行い、不適切な点を指摘・指導した。また、日常的な管理のため、独自マニュアルを作成して全病棟に配布した。2014年6月~2015年6月にPICC回診を経たPICC125本(介入群)を、2010年4月~2012年3月に挿入されたPICC111本(非介入群)と比較した。主要評価項目は合併症による抜去(事故的抜去)の割合とした。【結果】事故的抜去の割合は非介入群32.4%、介入群16.8%と介入群で有意に低かった(オッズ比0.421,p=0.005)。多変量調整後のオッズ比は0.381(p=0.004)であり、PICC回診により61.9%のリスク低下が見られた。【結論】PICC回診によるカテーテル管理はPICC合併症を予防する手段として有効である可能性が示唆された。
ISSN:2189-0161
2189-017X
DOI:10.11244/jspen.32.1489