登校回避感情と関連する要因:文部科学省スーパー食育スクール事業の結果から

目的 本研究は小学生を対象にメディア利用を含めた生活習慣や社会・家庭環境と登校回避感情との関連を明らかにすることを目的とした。方法 対象は2014年7月に行われた文部科学省スーパー食育スクール事業に参加した富山県高岡市内の5つの小学校の1年生から6年生までの全児童,計2,057人で,そのうち計1,936人から回答が得られた(回収率94.1%)。そのうち,本研究の解析に用いた16項目すべてに回答した1,698人を対象として解析を行った。本研究は自記式調査票によるもので,生活習慣や登校回避感情についての質問項目は児童と保護者が一緒に回答した。また,父親の職業,母親の職業,暮らしのゆとりについての質...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 64; no. 6; pp. 311 - 321
Main Authors 穐本, 昌寛, 関根, 道和, 山田, 正明, 立瀬, 剛志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2017
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Summary:目的 本研究は小学生を対象にメディア利用を含めた生活習慣や社会・家庭環境と登校回避感情との関連を明らかにすることを目的とした。方法 対象は2014年7月に行われた文部科学省スーパー食育スクール事業に参加した富山県高岡市内の5つの小学校の1年生から6年生までの全児童,計2,057人で,そのうち計1,936人から回答が得られた(回収率94.1%)。そのうち,本研究の解析に用いた16項目すべてに回答した1,698人を対象として解析を行った。本研究は自記式調査票によるもので,生活習慣や登校回避感情についての質問項目は児童と保護者が一緒に回答した。また,父親の職業,母親の職業,暮らしのゆとりについての質問は保護者が回答した。従属変数を登校回避感情,独立変数を社会・家庭要因および生活習慣として,多変量ロジスティック回帰分析を用いて社会・家庭要因および生活習慣の登校回避感情「あり」に対する調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。結果 分析した結果,登校回避感情を持っている児童の割合は32.2%であった。登校回避感情ありと有意に正の関連をしていた要因は,学年では6年生を基準として1,3,4,5年生で登校回避感情を持つ人の割合が高かった。(調整オッズ比はそれぞれ1.48(95%CI : 1.02-2.13),1.63(95%CI : 1.10-2.42),1.60(95%CI : 1.08-2.39),1.56(95%CI : 1.03-2.35))他に関連した要因としては,朝食の欠食がある1.76(95%CI : 1.12-2.75),間食を毎日食べる1.64(95%CI : 1.21-2.22),テレビの視聴時間が3時間以上1.55(95%CI : 1.05-2.28),ゲームの利用時間が30分以上2時間未満1.37(95%CI : 1.08-1.74),睡眠不足を感じている1.51(95%CI : 1.14-1.99),目覚めの気分が良くない1.64(95%CI : 1.30-2.06),自分の健康に満足でない1.43(95%CI : 1.10-1.87),外遊びが嫌い1.62(95%CI : 1.05-2.52)が登校回避感情ありと関連した。結論 登校回避感情は様々な生活習慣と有意に正の関連をしていた。今後,学校保健活動等を通して,児童の望ましい生活習慣を確立していくことが登校回避感情の回避につながる可能性があることが示唆された。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.64.6_311