循環器疾患と精神障害:虚血性心疾患に伴ううつを中心に

虚血性心疾患患者は高率にうつを併発する。また,うつを併発すると生命予後が悪化する。両者の間には,行動特性とともに,自律神経機能,血小板凝集能亢進,血管内皮機能不全や炎症などの生物学的な要因が介在していると考えられている。中等症から重症のうつ病の治療には心臓への影響の少ないSSRIを中心とする抗うつ薬が第一選択肢となっている。ただし,抗うつ薬と認知行動療法はうつの改善効果はあるものの,循環器疾患の生命予後への影響は限定的である。循環器医と精神科医と間にケアマネジャーを介在させて患者の意向を取り入れながら治療を進めるコラボレイティブケアが,うつと生命予後の改善効果があることが示されるようになってい...

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Published in総合病院精神医学 Vol. 23; no. 1; pp. 11 - 18
Main Authors 奥村, 泰之, 伊藤, 弘人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合病院精神医学会 15.01.2011
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ISSN0915-5872
2186-4810
DOI10.11258/jjghp.23.11

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Summary:虚血性心疾患患者は高率にうつを併発する。また,うつを併発すると生命予後が悪化する。両者の間には,行動特性とともに,自律神経機能,血小板凝集能亢進,血管内皮機能不全や炎症などの生物学的な要因が介在していると考えられている。中等症から重症のうつ病の治療には心臓への影響の少ないSSRIを中心とする抗うつ薬が第一選択肢となっている。ただし,抗うつ薬と認知行動療法はうつの改善効果はあるものの,循環器疾患の生命予後への影響は限定的である。循環器医と精神科医と間にケアマネジャーを介在させて患者の意向を取り入れながら治療を進めるコラボレイティブケアが,うつと生命予後の改善効果があることが示されるようになっている。2008年にアメリカ心臓協会は,うつのアセスメントを推奨するガイドラインを発表している。以上の動向は循環器科と精神科との連携を強化する重要性を示唆している。
ISSN:0915-5872
2186-4810
DOI:10.11258/jjghp.23.11