日本の看護におけるイノベーションの概念分析

根拠のある新しい看護技術の普及は看護にとって喫緊の課題である. この課題に対し, イノベーションという言葉がしばしば用いられるが, その意味するところはあいまいである. そこで本研究は, 根拠のある新しい看護技術の普及戦略モデルを構築するために, 現在の日本の看護における「イノベーション」の概念を明らかにすることを目的とした. 研究方法はRodgers (2000) の概念分析の手法を用い, 「イノベーション」「看護」を含む和文献15件を分析した. その結果, 日本の看護におけるイノベーションの先行要件は, 問題の存在に気づき, 解決するために新しい技術を採用する過程であり, その過程に作用す...

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Published in日本看護技術学会誌 Vol. 17; pp. 95 - 103
Main Authors 早瀬, 良, 角濱, 春美, 菱沼, 典子, 三上, れつ, 大久保, 暢子, 佐々木, 杏子, 沼田, 祐子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護技術学会 2018
Japanese Society of Nursing Art and Science
Subjects
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ISSN1349-5429
2423-8511
DOI10.18892/jsnas.17.0_95

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Summary:根拠のある新しい看護技術の普及は看護にとって喫緊の課題である. この課題に対し, イノベーションという言葉がしばしば用いられるが, その意味するところはあいまいである. そこで本研究は, 根拠のある新しい看護技術の普及戦略モデルを構築するために, 現在の日本の看護における「イノベーション」の概念を明らかにすることを目的とした. 研究方法はRodgers (2000) の概念分析の手法を用い, 「イノベーション」「看護」を含む和文献15件を分析した. その結果, 日本の看護におけるイノベーションの先行要件は, 問題の存在に気づき, 解決するために新しい技術を採用する過程であり, その過程に作用する要因があった. 属性は既存の看護技術や行動様式にとり替わる根拠に基づく技術の内容であり, その技術が組織に取り入れられることが一次的帰結, 取り入れた技術の施行による成果が二次的帰結であった. 看護におけるイノベーションは, 先行要件から帰結まで, 新しい看護技術の普及過程を示すものであり, 普及に影響する要因を含むものであった.
ISSN:1349-5429
2423-8511
DOI:10.18892/jsnas.17.0_95