原発性アルドステロン症の病理組織診断:update 2017

原発性アルドステロン症(Primary aldosteronism;PA)は,病的副腎組織からの自律性のアルドステロン過剰産生・分泌に起因する疾患である。病理組織学的には,PA副腎病変は腫瘍性ないし非腫瘍性病変に分類される。とくに近年,副腎静脈サンプリング(AVS)などの発達により画像では同定されない非腫瘍性PA病変の検出が可能となり,形態学的所見のみではPAの病理組織診断が難しいケースも少なくない。現在のPA副腎病変における病理診断では,組織学的検索に加え必要に応じてアルドステロン合成酵素であるCYP11B2に対する免疫組織化学的検討を行うことが重要となってきている。一方,PA副腎病変では各...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 8 - 12
Main Authors 中村, 保宏, 笹野, 公伸, 佐藤, 文俊, 山﨑, 有人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2018
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.35.1_8

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Summary:原発性アルドステロン症(Primary aldosteronism;PA)は,病的副腎組織からの自律性のアルドステロン過剰産生・分泌に起因する疾患である。病理組織学的には,PA副腎病変は腫瘍性ないし非腫瘍性病変に分類される。とくに近年,副腎静脈サンプリング(AVS)などの発達により画像では同定されない非腫瘍性PA病変の検出が可能となり,形態学的所見のみではPAの病理組織診断が難しいケースも少なくない。現在のPA副腎病変における病理診断では,組織学的検索に加え必要に応じてアルドステロン合成酵素であるCYP11B2に対する免疫組織化学的検討を行うことが重要となってきている。一方,PA副腎病変では各種イオンチャネルやイオン交換ポンプをコードする遺伝子の体細胞変異が報告されており,同病変でのCYP11B2の発現亢進と関連付けられている。以上を踏まえ,本稿ではPA副腎病変に対する病理診断の現状とその背景となる形態学的,免疫組織化学的,分子病理学的特徴について解説する。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.35.1_8