経皮的超音波ガイド下硬化療法が有効であった出血性ストーマ静脈瘤の1例

出血性ストーマ静脈瘤は門脈圧亢進症を呈するストーマ患者の稀な合併症であるが,頻回な出血を呈することからしばしば治療に難渋する.これまでもストーマ静脈瘤に対する硬化療法はその低侵襲性と簡便性から有用性が報告されてきたが,根治性は低く,再発率を低くする治療法が望まれていた.今回我々は,化学療法中の直腸癌術後再発患者で多発肝転移増悪に伴い二次性バッド・キアリ症候群を生じ,噴出性のストーマ静脈瘤出血を来たした症例を経験した.高度の門脈圧亢進症が想定され,通常の出血点に対する硬化療法ではなく,超音波ガイド下に静脈瘤を穿刺し,圧迫下で静脈瘤造影下硬化療法を施行した.硬化剤はオルダミンと造影剤の混濁液を使用...

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Published inJapanese Journal of Portal Hypertension Vol. 19; no. 2; pp. 134 - 139
Main Authors 秦, 佐智雄, 宮川, 明祐, 松島, 知広, 紫村, 治久, 糸林, 詠, 石橋, 啓如, 志村, 謙次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 2013
The Japan Society for Portal Hypertension
Subjects
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph.19.134

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Summary:出血性ストーマ静脈瘤は門脈圧亢進症を呈するストーマ患者の稀な合併症であるが,頻回な出血を呈することからしばしば治療に難渋する.これまでもストーマ静脈瘤に対する硬化療法はその低侵襲性と簡便性から有用性が報告されてきたが,根治性は低く,再発率を低くする治療法が望まれていた.今回我々は,化学療法中の直腸癌術後再発患者で多発肝転移増悪に伴い二次性バッド・キアリ症候群を生じ,噴出性のストーマ静脈瘤出血を来たした症例を経験した.高度の門脈圧亢進症が想定され,通常の出血点に対する硬化療法ではなく,超音波ガイド下に静脈瘤を穿刺し,圧迫下で静脈瘤造影下硬化療法を施行した.硬化剤はオルダミンと造影剤の混濁液を使用し,静脈瘤から供血路である下腸間膜静脈の分枝まで造影し,約10分間の停滞でストーマ静脈瘤は完全に硬化した.本治療法を簡便なストーマ静脈瘤硬化療法の一手段と考え報告する.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph.19.134