介護施設に勤務する介護福祉士の倫理的問題の認識や対処と倫理教育の現状
本稿では、現場で働く介護福祉士が、倫理についてどのような基礎教育や現任教育を受けているのか、また倫理的問題の認識や対処はどのようなものかを把握するために、全国介護老人保健施設協会に正会員として登録されている介護老人保健施設から無作為抽出した200施設に勤務する介護福祉士1,000人に対し、質問紙調査を行った。(有効回答数494部、回収率49.4%)。その結果、現場で多く見られる倫理的問題として、言葉や態度など援助者の行為自体が倫理的問題となるもの、また利用者に合わせたケアや生活援助ができていないことが挙げられ、排泄、入浴、食事などの三大介護場面で倫理的問題が多く生じていることなどが明らかになっ...
Saved in:
Published in | 生命倫理 Vol. 27; no. 1; pp. 26 - 38 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生命倫理学会
2017
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1343-4063 2189-695X |
DOI | 10.20593/jabedit.27.1_26 |
Cover
Summary: | 本稿では、現場で働く介護福祉士が、倫理についてどのような基礎教育や現任教育を受けているのか、また倫理的問題の認識や対処はどのようなものかを把握するために、全国介護老人保健施設協会に正会員として登録されている介護老人保健施設から無作為抽出した200施設に勤務する介護福祉士1,000人に対し、質問紙調査を行った。(有効回答数494部、回収率49.4%)。その結果、現場で多く見られる倫理的問題として、言葉や態度など援助者の行為自体が倫理的問題となるもの、また利用者に合わせたケアや生活援助ができていないことが挙げられ、排泄、入浴、食事などの三大介護場面で倫理的問題が多く生じていることなどが明らかになった。また問題とわかっていてもどうしていいかわからない、規則やシステムで改善できない等の理由で倫理的問題に取り組めない状況が明らかになった。倫理教育については、スタッフの価値観の共有、援助行為の振り返りと質の向上、利用者の個別性への理解に役立つと考えており、内容としては基礎的知識の伝授にとどまらず、現場の具体的な問題の判断や解決方法に関するものが望まれていた。今後も介護現場で生じる倫理的問題についてのさらなる集約とそれに応じた具体的な倫理教育内容の充実が重要であることが明らかになった。 |
---|---|
ISSN: | 1343-4063 2189-695X |
DOI: | 10.20593/jabedit.27.1_26 |