前立腺がんに対する監視療法の現況と課題

PSA検診の普及により早期前立腺癌患者数は増加し,日本においては男性癌の第一位となった。早期前立腺には即時の根治療法を実施しなくても生命予後に影響を及ぼさないことがランダム化比較試験(ProtecT trial)の長期成績で明らかとなっており,早期前立腺癌に対する過剰診断と過剰治療が問題となっている。各ガイドラインでは現実的な対応策として早期前立腺癌に対する監視療法が推奨されている。海外とくに欧米では,監視療法は広く普及し低リスク前立腺癌患者の第一選択となり中間リスク前立腺癌にもその適応は拡大しつつある。しかしながら,日本では普及は進まず適格であっても監視療法を選択する患者は10%程度に過ぎな...

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Published in日本内分泌外科学会雑誌 Vol. 41; no. 4; pp. 240 - 244
Main Author 加藤, 琢磨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内分泌外科学会 2024
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ISSN2434-6535
2758-8785
DOI10.11226/ojjaes.41.4_240

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Summary:PSA検診の普及により早期前立腺癌患者数は増加し,日本においては男性癌の第一位となった。早期前立腺には即時の根治療法を実施しなくても生命予後に影響を及ぼさないことがランダム化比較試験(ProtecT trial)の長期成績で明らかとなっており,早期前立腺癌に対する過剰診断と過剰治療が問題となっている。各ガイドラインでは現実的な対応策として早期前立腺癌に対する監視療法が推奨されている。海外とくに欧米では,監視療法は広く普及し低リスク前立腺癌患者の第一選択となり中間リスク前立腺癌にもその適応は拡大しつつある。しかしながら,日本では普及は進まず適格であっても監視療法を選択する患者は10%程度に過ぎない。また,監視療法を選択しても,継続率は低いことが特徴である。監視療法の普及のためには,患者に対する監視療法の啓蒙と,医師に対する保険診療におけるincentiveが必要と考えられる。
ISSN:2434-6535
2758-8785
DOI:10.11226/ojjaes.41.4_240