昭和期における労働科学研究所の国際協力

昭和期(1939年より1987年)の労働科学研究所の国際協力活動を概観,記述した。次の5つが主要な活動であった。第一に戦前および戦中に中国東北地方に研究所分室を開設し,中国人,ロシア人,日本人ほか民族の異なる農民の労働と生活実態の比較研究および鉱山労働研究を行い人間的な労働条件を探求した。第二に前所長,暉峻義等の熱意により1956年に第1回アジア労働衛生会議がアジア6カ国の参加を得て東京で開催され今日まで続くアジア労働衛生協会の礎が築かれた。第三に人間的な労働条件を実現するためのILOのプロジェクトに参加し所員を派遣した。第四にJICAの韓国における労働衛生向上プロジェクト形成と実施,ペルーに...

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Published in労働科学 Vol. 94; no. 6; pp. 149 - 160
Main Authors 斉藤, 一, 川上, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人大原記念労働科学研究所 2018
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ISSN0022-443X
2187-2570
DOI10.11355/isljsl.94.149

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Summary:昭和期(1939年より1987年)の労働科学研究所の国際協力活動を概観,記述した。次の5つが主要な活動であった。第一に戦前および戦中に中国東北地方に研究所分室を開設し,中国人,ロシア人,日本人ほか民族の異なる農民の労働と生活実態の比較研究および鉱山労働研究を行い人間的な労働条件を探求した。第二に前所長,暉峻義等の熱意により1956年に第1回アジア労働衛生会議がアジア6カ国の参加を得て東京で開催され今日まで続くアジア労働衛生協会の礎が築かれた。第三に人間的な労働条件を実現するためのILOのプロジェクトに参加し所員を派遣した。第四にJICAの韓国における労働衛生向上プロジェクト形成と実施,ペルーにおける塵肺対策プロジェクトに協力した。第5に1957年に国交回復前の中華人民共和国への訪中医学団に参加し労働衛生分野における日中協力の基盤作りに貢献した。(表3)
ISSN:0022-443X
2187-2570
DOI:10.11355/isljsl.94.149