ERCP後膵炎を契機に高Ca血症クリーゼを発症した副甲状腺腺腫の1例

ERCP後膵炎を契機に高Ca血症クリーゼを発症し,原発性副甲状腺機能亢進症と診断され,緊急で腫大腺を摘出し救命した1例を経験したので報告する.症例は80歳,男性.閉塞性黄疸精査目的に入院した.入院時,血清Ca 11.7mg/dL(補正値)と高値であったが,特に精査はされていなかった.入院当日にERCPを施行し,胆管細胞診にて下部胆管癌と診断した.第2病日にERCP後膵炎を発症したため保存的治療を開始した.膵炎は速やかに軽快したが,第5病日より高Ca血症が急速に増悪した.保存的治療に不応で血清Ca 21.9mg/dL(補正値)まで上昇した.血清intact-PTH 647pg/mL,超音波検査に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 11; pp. 1955 - 1960
Main Authors 荒木, 貴代, 柴田, 有宏, 石原, 博雅, 村上, 弘城, 出口, 智宙, 高瀬, 恒信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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Summary:ERCP後膵炎を契機に高Ca血症クリーゼを発症し,原発性副甲状腺機能亢進症と診断され,緊急で腫大腺を摘出し救命した1例を経験したので報告する.症例は80歳,男性.閉塞性黄疸精査目的に入院した.入院時,血清Ca 11.7mg/dL(補正値)と高値であったが,特に精査はされていなかった.入院当日にERCPを施行し,胆管細胞診にて下部胆管癌と診断した.第2病日にERCP後膵炎を発症したため保存的治療を開始した.膵炎は速やかに軽快したが,第5病日より高Ca血症が急速に増悪した.保存的治療に不応で血清Ca 21.9mg/dL(補正値)まで上昇した.血清intact-PTH 647pg/mL,超音波検査にて径13.4×15.1×9.6mmの左下副甲状腺腫大を認め,原発性副甲状腺機能亢進症による高Ca血症クリーゼと診断し,第8病日に緊急腫大腺摘出術を行った.術後1時間に血清intact-PTHは正常化し,第12病日には血清Ca 10.7mg/dL(補正値)まで改善した.全身状態改善後の第55病日に下部胆管癌に対し根治術を施行したが,第178病日,癌性腹膜炎にて永眠した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1955