抗EGFR抗体薬併用化学療法が著効をみた切除不能Lynch症候群関連小腸癌の1例

症例は67歳の男性で，大腸癌の術後フォローアップ中であった．2017年8月のCT・FDG-PETにて遠隔リンパ節転移を伴う小腸の腫瘍性病変診断で，腹腔鏡下小腸部分切除術+小腸腸間膜リンパ節生検術を施行した．病理学的所見では，原発性小腸癌とそのリンパ節転移の診断であった．術後，遺残する腸間膜リンパ節と遠隔リンパ節転移に対して抗上皮成長因子受容体抗体併用化学療法を開始したところ，同部は縮小し完全奏効に至った．Lynch症候群のスクリーニングを施行し，生殖細胞系列の遺伝子検索でhMSH2遺伝子に病的バリアントを認め，Lynch症候群の診断となった．その後も全身化学療法を継続し，完全奏効を維持したが，...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 12; pp. 2235 - 2245
Main Authors 小山, 虹輝, 豊福, 篤志, 久保, 顕博, 是枝, 侑希, 勝木, 健文, 四元, 真司, 永田, 直幹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
Subjects
Lynch症候群
全身化学療法
小腸癌
Online AccessGet full text

Cover

More Information
Summary:症例は67歳の男性で，大腸癌の術後フォローアップ中であった．2017年8月のCT・FDG-PETにて遠隔リンパ節転移を伴う小腸の腫瘍性病変診断で，腹腔鏡下小腸部分切除術+小腸腸間膜リンパ節生検術を施行した．病理学的所見では，原発性小腸癌とそのリンパ節転移の診断であった．術後，遺残する腸間膜リンパ節と遠隔リンパ節転移に対して抗上皮成長因子受容体抗体併用化学療法を開始したところ，同部は縮小し完全奏効に至った．Lynch症候群のスクリーニングを施行し，生殖細胞系列の遺伝子検索でhMSH2遺伝子に病的バリアントを認め，Lynch症候群の診断となった．その後も全身化学療法を継続し，完全奏効を維持したが，患者側の理由で2018年12月に治療を中止した．2019年2月に膀胱癌の診断で全身化学療法を開始するも治療抵抗性であり，同年7月よりpembrolizumab療法を開始した．その後病状は進行し，2020年7月に永眠となった．
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.2235